「きれい!」各地で歓声 金環日食
太陽の中心部が月に隠れてリング状になる「金環日食」が21日午前7時半ごろ、太平洋側を中心とした日本の広い範囲で観測された。 県内でも各地でイベントが開かれ、県内では282年ぶりとなる世紀の天体ショーに大勢の人が感動。 各会場では大きな歓声や拍手が湧き起こっていた。 国内では昭和62年の沖縄以来25年ぶり。 次は18年後の平成42年に北海道で見られるという。
【紀美野町】みさと天文台がある同町では神野市場の文化センターで特別観測会が開かれ、 6㍍の筒を使ったピンホール望遠鏡や太陽望遠鏡が用意された。
集まった近くの下神野小学校児童ら子どもからお年寄りまで約100人は、 天文台職員の説明を聞き、 専用の眼鏡で空を見上げたり、 ミラーボールの反射や木漏れ日に映る部分日食を見ながら世紀の瞬間を待った。
辺りが暗くなり、 7時26分、 太陽の光が月の丸い影に沿って金色のリングにつながると、 「わあー」 と大きな歓声が上がった。 雲の切れ間から見えたり、 薄い雲がかかっている環状の太陽に見とれていた。
友達と飛び跳ねて喜んでいた辻中ももさん(下神野小6年)と油谷泉里さん(同)は 「リングになってきれいだった」 と笑顔満開。 妻と見上げていた松本吾さん(86)=神野市場=も 「1度見たいと思っていました。 長生きするものですね。 本当に感激しました」 と顔をほころばせていた。
【和歌山大学】栄谷の和歌山大学グラウンドでは観光学部の学生が観測会を開催。 近くの市立藤戸台小学校の4~6年生約180人が招待され、 世紀の天体ショーを楽しんだ。
太陽がリング状になると、 一斉に 「きれい」 と歓声が上がった。 4年1組の中西叶さん(9)は 「めっちゃすごい」、 同2組の大元鈴華さん(9)は 「だんだん(太陽の)形が変わっていくのがきれいやった。 ほんまに指輪みたい」 と満面に笑みを浮かべていた。
また同大宇宙教育研究所は、 グラウンドに太陽観測専用の望遠鏡を設置。 東海大学などと連携し、 金環日食の様子を動画サイト 「Ustream」 でライブ中継した。
【和歌山市駅前】市駅前でも通勤通学途中の人たちが日食グラスを手に足を止めた。 周囲が薄暗くなると、 口々に 「太陽と月が重なった」 と感動を分かち合っていた。
学校で手作りした日食グラスで観察していた県立桐蔭中学校2年生の大石麗華さん(13)は 「去年の夏休みにこの金環日食を知り、 楽しみにしていました。 まさに 『リング』 ですごかったです」 とにっこり。