「いい走りを」少年との約束果たした優勝
和戸達哉の活躍の背景には、ある少年と交わした約束があった。その相手は、和戸にとって「和歌山に来てできた初めての友達」という、和歌山陸上クラブに所属する広瀬小学校5年生の津田響己(ひびき)君(11)。
津田君は2年前、県のアスリート養成プロジェクト「ゴールデンキッズ」にチャレンジしたことをきっかけに和戸を知った。その後まちで偶然出会い、思い切って声を掛け、2人の友情は始まった。紀三井寺公園陸上競技場で一緒に練習することも多く、和戸にアドバイスを受けることも。
国体のレース前日に競技場に足を運ぶと、和戸は「もし明日見に来てくれるなら、響己のためにいい走りを見せるよ」と約束した。
「約束してくれたから、予選は見やんで大丈夫」――。この日は午後の決勝に合わせ、学校の授業を終えてから母の紅美さん(43)と駆け付け、スタンドから力いっぱい声援を送った。
津田君は「いい結果を出してくれるって信じてた。決勝での和戸選手は、すごくかっこよかった」
津田君の種目は100㍍だが、和戸の走りに刺激を受け、ハードルに興味を持つように。11月の同市の小学生大会では、ハードル種目に出場する予定で「今までよりも陸上が好きになった。もっと練習して和戸選手に近づきたい」と笑顔を見せている。