金属回路を布にプリント 太洋工業が新技術

 屈折可能なFPC(フレキシブルプリント配線板)製造を手掛ける太洋工業㈱(本社=和歌山市有本、細江美則社長)は、自社の生産技術を生かし、市販の化学繊維製生地の上に金属回路を形成する技術を開発した。4月20日から3日間、東京都内で開かれる見本市「MEDTEC Japan2016」への出展などでPRし、医療やスポーツなどの各分野とのコラボレーションを目指す。

 金属成分を混ぜたペーストや導電性繊維を用いた一般的な技術とは違い、より細くて薄い金属回路の形成に成功。配線密度の向上によって、より安定的な通電が可能になる。

 開発者は同社研究開発部のベテラン技術者、浅井頼明次長(55)。約1年の開発期間を費やし、2日間を要する工程を300回程度繰り返し完成させた。薄膜化により、服などへのプリントに使っても体の動きにフィットし、違和感なく着用できるという。

 浅井次長は「今後、患者やハンディキャップを持った人を支える技術として、さまざまな分野の製品開発で活用していただきたい」と話している。

生地にプリントされた回路と浅井次長

生地にプリントされた回路と浅井次長