心を癒やす音楽の力 東京芸大・澤学長語る
和歌山放送のワイドFM開局記念・第109回和歌山放送情報懇談会が26日、和歌山市西高松の県立図書館メディア・アート・ホールで開かれた。
東京芸術大学学長で、同市出身のバイオリニスト、澤和樹さん(61)が「芸術の持つ無限の可能性と社会的投資のススメ」をテーマに講演。約100人が参加した。
澤さんは3歳10カ月で、母親が読んでくれた絵本をきっかけにバイオリンに興味を持ったエピソードや、桐蔭高校時代など、現在までの歩みを振り返りながらクラシック音楽への思いを語った。
名器「ガルネリ・デル・ジェス」に出合い、大学院在学中に和歌山の複数の支援者の厚意によって手にすることができたこと、そのおかげで演奏家として注目されるようになったことに感謝し「助けてくださった皆さんへのご恩を忘れることはできない」と話した。
「音楽に限らず、名作と呼ばれるものは、緊張と弛緩のバランスが非常によくできている」とし、音楽には人の心を癒やす力があり、現代人が抱えるストレスを和らげたり、生活のリズムを取り戻す働きがあるのではないかと言及した。
また日本は諸外国に比べ、文化への投資意識が低い点を指摘し「日本が文化芸術国家として世界から尊敬される国になるためには、持っている素晴らしい芸術や文化を発信していく必要がある」と話した。
講演後には、妻でピアニストの蓼沼恵美子さんとのデュエット演奏もあった。