家康ゆかりの遺宝を公開 東照宮の文化財展
県立博物館(和歌山市吹上)で6月4日まで、徳川家康ゆかりの文化財を紹介する特別展「東照宮の文化財Ⅱ―没後400年家康の遺宝―」が開かれている。展示資料は全て紀州東照宮(同市和歌浦西)の所蔵品。絵巻や装束、武具など、重要文化財や県指定文化財を含む約60点を展示している。
同宮は、紀伊徳川家初代藩主の頼宣(よりのぶ)が、父の家康を祭るため、元和7年(1621)に造営。全国各地にある東照宮の中でも、御三家の東照宮として別格で、多くの人が崇拝の対象として家康ゆかりの品々を奉納している。同宮の文化財をテーマにした特別展の開催は、平成10年以来19年ぶり。
家康ゆかりの甲冑(かっちゅう)類の他、正装時や日常的に身に着けた装束類は、ほぼ全て展示。イタリア製のよろいやかぶとも並び、鉄板に楽器や武器などの西欧の文様が刻まれ、火縄銃の銃弾の跡が残る。また、家康が身に着けていたとされる着物は丈136㌢と、あまり背が高くなかったことがうかがえる。
家康は生前、1200振ほどの刀剣を収集しており、没後、頼宣に形見分けされたとされる名刀も紹介。家康の生涯や、没後の日光改葬などを描いた絵巻物「東照宮縁起絵巻」には、家康の30回忌の年の「和歌祭」の渡御行列の様子が華やかに描かれている。
その他、葵の紋が織り込まれた能装束や家康自筆の短冊も並び、同館の竹中康彦学芸課長は「展示資料から、家康の人となりや、徳川家の偉大さを感じ取ってもらえれば」と話している。
関連企画として、27日午後1時半から記念講演会があり、市立博物館の額田雅裕館長が「絵図にみる和歌浦の景観変遷」をテーマに話す。
ミュージアムトーク(学芸員による展示解説)は21日、6月4日午後1時半から。月曜休館。問い合わせは同館(℡073・436・8670)。