高齢者に多い血液がん 医大で最新医療講座
県立医科大学の教員が市民を対象に、最新の医療事情を紹介する講座「最新の医療カンファランス」が11日、和歌山市紀三井寺の同大生涯研修センターで開かれ、同大血液内科学講座の園木孝志教授が「高齢者に多い血液ガン」と題して解説し、市民約20人が参加した。
同センターが主催し、年間5回程度実施。この日が本年度初回の研修会となった。
園木教授は、同大の血液内科を受診する人の約8割が悪性リンパ種や急性白血病、多発性骨髄腫などの血液がんを患っている事実を紹介。「血液の病気と聞いてイメージしがちな貧血は6%に過ぎない」と話した。
白血病を取り上げたテレビドラマなどの影響もあり、若い人が多く罹患(りかん)するイメージが広がりつつあると指摘した上で、患者に占める中高年の割合が高い状況を解説した。
最近増えているという多発性骨髄腫のメカニズムについて、カルシウムを骨に取り込む骨芽細胞の働きが抑制されることで骨がもろくなると説明。嘔吐(おうと)や抑うつ、意識障害などが生じる高カルシウム血症になりやすくなると話した。
治療を開始するタイミングとして、骨に痛みが出た場合やヘモグロビンが10以下となった時を挙げ、「現時点で治癒は期待できないが、希望の持てる治療法がどんどん出てきている」と話し、約20年前は骨髄腫と診断されてから約2年で亡くなるケースが多かったのに対し、現在は5年生存率が5~6割に向上していることを紹介した。
次回は6月8日午後2時から、うつ病などをテーマに同センター研修室で開かれる。