圧巻の大般若経 紀三井寺「初観音」転読法会

ことし最初の観音様の縁日「初観音」が18日、和歌山県和歌山市の紀三井寺(前田泰道貫主)であり、本堂では無病息災などを願う「大般若経転読法会」が営まれた。

大般若経は『西遊記』で知られる三蔵法師・玄奘がインドから中国に持ち帰り、翻訳した経典で全600巻ある。全てを読経すると長い時間がかかるため、表題を読みながら繰り落とす。

阪神淡路大震災や東日本大震災の犠牲者へ黙とうをささげた後、12人の僧侶たちが、頭上で経典を扇子やアコーディオンのように広げ、大声で題目を唱えながら次々とめくり落としていった。

参拝者は、その風に当たるだけでも御利益があるとされ、ぱらぱらと一方へ繰り落とす圧巻の様子を見守った。

前田貫主は「最近は『自分さえ良ければ、他の人はどうでもいい』といった風潮が、まん延しつつあることを危惧している。幸せとは、心の中に花が咲き続けるということ。心に花が咲く喜びを、若い人や子孫に伝えていかなければ」と呼び掛けた。

経典を肩や痛む部分に当てて功徳を受ける「お加持」もあり、参拝者は一年の無病息災や平穏無事を祈った。

同市和歌浦から訪れた女性(71)は「20年以上前から毎年参加しています。年の初めに気持ちが引き締まり、お話もありがたかったです」と笑顔で話していた。

大量の経巻を転読する僧侶

大量の経巻を転読する僧侶