スターチスの新商品 コンテストで奨励賞
日本一の花き市場、大田市場(東京都大田区)が選出する2020年のトレンドを反映する花「フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2020」で、JA紀州が出荷する野村直佑さん(34)=和歌山県御坊市=のスターチス「シンジーシルバー」が新商品奨励賞を受けた。
ことしで16回目の「フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA」は、毎年20万点に及ぶ流通した鑑賞用植物から、年間の取引データに基づく統計分析やバイヤーによる投票を行い、トレンドを的確に捉えた品種を選定。最優秀、優秀と新商品奨励賞(2品種)の4品種を決定し、品種と生産者(出荷元)に贈られる。和歌山の品種、生産者の受賞は今回が初めてとなった。
ことしはコロナの影響で自宅に飾る「おうち需要」が増加し、その中でもブルーイッシュピンクなど、淡いピンクがトレンド。ドライフラワー人気も近年続いており、新鮮な花であっても、乾いた質感の花が注目されている。これらのニーズを捉えた品種が入賞した。
シンジーシルバーは、シルバーがかった淡いピンク。一般的なスターチスより、ガクが広がっており、小花が点在する柔らかな雰囲気。新しい品種で、全国でも数軒の農家しか栽培しておらず、JA紀州エリアでは、野村さんのみが栽培している。
野村さんは、暖地園芸センターで、新たに育てるいい品種がないか探していたところ、「色や形が珍しく、アレンジメントにも使いやすい」とシンジーシルバーを気に入り3年前から育てている。新品種のため、苗の価格は通常の倍以上と導入コストがかかり、最適な栽培方法も確立されていなかったが、少しずつ収穫量を増やし、今期は4万本の出荷を見込んでいる。
今回の受賞の知らせに、「高い品質の商品を出し続けるため、妥協せずやってきたことが認められたと感じています。これからも、スターチスの大産地として先を見据え、新しいことに挑戦し続けたいです」と話している。
芝光洋組合長は「若い世代のチャレンジが県内初の受賞につながりうれしい。これからも新しい取り組みに期待しています」と喜んでいた。