天の里にヘリポート 救急搬送や災害時に対応

和歌山県かつらぎ町下天野の宿泊施設「山荘 天の里(あまのさと)」にヘリポートが設置され、2日に稼働を開始した。同施設は和島興産㈱(和歌山市本町、梅田千景社長)が運営。山間部の限界集落で、ドクターヘリによる救急患者の搬送や災害時の緊急輸送などで一翼を担う。また、インバウンド(訪日外国人)の富裕層向けに、近隣空港からのチャーター機の受け入れなども見込んでいる。

同施設は高野山の麓に佇む隠れ宿。ヘリポートは隣接するパークゴルフ場の敷地内に10㍍四方のスペースを確保した。これまで天野地区での救急搬送は救急車による陸路のみだったが、ドクターヘリを使えば、受け入れ先の県立医大までは約10分で到着するという。

この日行われた神事には、親会社の㈱島精機製作所の島正博会長や島三博社長を含め関係者約20人が出席。丹生都比売(にうつひめ)神社の丹生晃市宮司が祝詞を奏上し、安全を祈願した。

また、同施設では客室2室を増築。紀州産のスギやヒノキを使い、木のぬくもりを生かしたデザインで、これまでよりもカジュアルな雰囲気。価格帯も少し抑え、全8室となった。「ほたる」「いなほ」と名付けられ、設計した㈱アーキヴィジョン広谷スタジオ(東京都)代表取締役、和歌山市出身の広谷純弘さんは「ホタルが舞う天野の風景や、空気感を楽しめる部屋になった」と話した。

梅田社長は「万が一の災害時や、緊急医療で地域に貢献できれば。客室も増え、コロナ収束後は豊かな自然に恵まれたこの天野で、時間を忘れて、季節ごとの美しさやおいしいお食事を存分に味わっていただきたい」と話していた。

 

雄大な自然に囲まれ完成したヘリポート