心つなぐ手紙大切に 紀三井寺で文供養会
宛て名や差出人の記載が不十分などの理由で配達できなかった郵便物などを供養する「文供養会」が2日、和歌山市の紀三井寺で行われた。
文塚供養奉賛会が主催し、今回で56回目。1967年に「迷い子郵便供養会」として始まり、94年からは安易に処分できない大切な郵便物も併せて供養することとし、名称を「文供養会」としている。
同寺の前田泰道貫主を導師に、境内の石碑「文塚」の前で法要を実施。郵政関係者ら90人が出席し、僧侶らが般若心経を唱える中、持参した約50通の郵便物を火の中に入れる「おたき上げ」が行われた。
事前に寄せられた2541通の郵便物の灰とともに、祭主を務めた同会の島本敏夫会長(72)が文塚に奉納した。
島本会長は「ことしも後につなげることができた」と安堵(あんど)の表情を見せ、「手紙が人の心をつないで、安らげて、癒やしてくれるものとしていつまでも大切にされることを願う」と話した。
日本郵便㈱が主催する「手紙作文コンクール」に出品し、この日のおたき上げにも参加した県立和歌山北高校の美術部長、松本澄礼(すみれ)さん(17)は「いろんな思いを運んでくれるたくさんの手紙が桜の木の下で安らかに眠れることを願う」と笑顔で話していた。