小児あん摩の普及目指し 能澤さんが解説書

元県立和歌山盲学校の教諭で和歌山市在住の能澤(のざわ)義和さん(69)の著書『小児保健あん摩のすすめ―中国式小児あん摩健康法』がこのほど、たにぐち書店(東京都豊島区)から出版された。「東洋古来の伝統医学のあん摩を基本にした『小児あん摩』による小児健康法を世間に広めたい」と意気込んでいる。

能澤さんは神奈川県横浜市出身。大学であん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得し、県立和歌山盲学校への就職を機に和歌山へ移住。約35年間、同校で理療科教諭を務めた。

能澤さんが同校の教諭になって間もない頃、日中友好医療訪中団に参加し、北京を訪問。現地の病院で小児科医が子どもと向かい合い、手を取ってマッサージする姿を見て「痛いところがあればそこに手を当てる」「悪いところがあればそこに手を当てる」といった医学の始まりにも通じる伝統医学に感銘を受けたという。

帰国後は現在に至るまで、主に同校で小児あん摩による小児健康法の実践を重ねてきた。そして今回、これまでの経験を生かしてより広く一般に普及させるため、同書を発刊した。

同書は子どものつぼを使った小児の健康あん摩の解説書として、小児医学の基礎知識からマッサージの効果と役割、つぼの取り方まで幅広く説明。「夜泣き」や「尿漏らし」「偏食」など、子どもにありがちな疾病や症状を挙げ、それぞれの具体的な対処法も掲載されている。図や写真を使った説明もあり、家庭ですぐに実践できる。

皮膚は「第3の脳」ともいわれ、刺激すると〝幸せホルモン〟とも呼ばれる「オキシトシン」が生成されるとし、皮膚への刺激効果が注目されているという。

能澤さんは「幼い頃から親子のスキンシップを通して、自然に親と子の信頼関係や絆を育んでいける道しるべになる」と笑顔。「親や家族はもちろん、保育や養育の専門家、鍼灸やマッサージのプロにも役立ててもらいたい」と願っている。

今後はより広く普及させるため、地域のコミュニティセンターなどで講演会なども開催していきたいとし、協力を呼び掛けている。

A5判、164㌻。3300円。全国の主要書店の他、アマゾンなどのネット書店でも購入できる。

著書を手に笑顔の能澤さん

著書を手に笑顔の能澤さん