市場経済学ぶ 智弁高で公取委が出前授業

公正取引委員会の職員が講師になって、市場経済の仕組みや独占禁止法の役割を学ぶ出前授業が2日、和歌山市冬野の智弁和歌山高校で行われた。1年生約240人がゲームなどを通じ、企業間の自由な競争が市場の活性化と消費者の利益につながることなどを学んだ。

出前授業は、近い将来、経済活動に参加する高校生に、公平で自由な競争を促進する独占禁止法の役割を理解してもらおうと実施。同校で開かれるのは初めて。

生徒は、売り手側と買い手側に分かれ、動画配信の会社で消費者に向けたサービスを考えるシミュレーションゲームに参加。

売り手側は三つの会社に分かれ、「高画質」「オリジナル作品」など提供中のサービスを買い手側に提示。さらに他社より多くの顧客を獲得しようと「月額料金300円値下げ」「アイドルのライブ映像配信」「長期契約割引1500円」とそれぞれ自社独自の新サービスを考えて、再度アピールした。買い手側は「月額割引なのでお得感がある」「見たいアイドルのライブがある」などと、自由に契約する会社を選んでいた。

近畿中国四国事務所の江村玲奈さんは、企業同士の活発な競争が行われることで新たな消費やサービスが生まれ、消費者の利益につながることなどを解説。一方で、「東京五輪談合」や「電力カルテル」など身近な話題にふれながら、企業同士が販売価格や販売数量などを話し合って決める「カルテル」が行われると、競争のない市場となり、消費者の利益が失われてしまうことから独占禁止法の重要性を訴えた。

授業を受けた楠本真優さんは、「ゲームを通じて分かりやすく学べた。今後は自分も売り手側になるかもしれないので、若い人が知ることは良いことだと思う」と笑顔。

江村さんは「これから就職して経済活動に関わっていく中で、授業で学んだ独占禁止法や公正取引委員会の存在を思い出してもらえれば」と呼び掛けた。

それぞれ独自のサービスを考える売り手側の生徒たち

それぞれ独自のサービスを考える売り手側の生徒たち