児童が司会進行 和大付小で複式授業研究会

異なる学年の子どもたちを一つのクラスに編成し、教師が同時に指導する「複式授業」の研究会が17日、和歌山大学付属小学校(和歌山市吹上)で開かれ、県内外から集まった教職員ら約100人が同校の授業を見学した。

児童数が少ない学校で実施されている授業で、同校では1967年から取り組んでいる。2001年から毎年1回、研究会を行い、今回が22回目。

同校では1・2年、3・4年、5・6年生の3学級でクラスを編成。複式学級の授業においては、一方の学年に教師が指導する時、もう一方には指導できなくなるため、児童自らが考えて授業を進める力を養う取り組みが必要とされている。児童たち自身に司会、記録、フォロワーの役割を持たせ、授業進行に必要なスキルを学んでいる。

5・6年生は「わたしたちの暮らしとSDGs」をテーマに五つのチームに分かれ、問題点、課題解決に向け考え話し合い、チームの意見をまとめながら進行。猫の保護について活動するチームは学校付近で見かける猫を捕獲し、避妊・去勢手術の後に地域猫として暮らせるようにしたいとの目標を掲げていたが、捕獲の困難さから方向性を変え、一時預かりや譲渡ボランティアをやり遂げたいと思うようになっているという。

また、1年生から6年生が年間を通じ取り組んでいるミュージカル作りの授業も公開された。台本から演出まで児童が担当。音響、照明、役者などの役割に分かれ、どのような準備が必要か、高学年が低学年にアドバイスし、助け合いながら学んでいた。

辻本和孝副校長は「県内で複式授業を行っている小学校は約3割。複式教育を充実させることは、各地域を守っていくこと、県全体の教育の充実につながる。地域教育への貢献という意味から複式教育の充実について研究を行っていきたい」と話していた。

自分たちで授業を進める児童ら

自分たちで授業を進める児童ら