キャッシュレスを推進 PayPayと県が協定
国内のコード決済シェア1位のPayPay㈱(東京都港区、中山一郎社長)と和歌山県は10日、インバウンド(訪日外国人観光客)向けのキャッシュレス対応サービスの推進、中小零細を含む県内事業者へのキャッシュレス決済の導入促進などに協力して取り組んでいく包括連携協定を結んだ。同社と都道府県の連携協定締結は初めて。
PayPayのユーザーは約6000万人、利用できる店舗や施設は約1000万カ所。コード決済の国内シェアは67%を占める。
協定に基づく主な連携項目として、①インバウンド誘客を含む観光振興に関すること②キャッシュレス社会の推進に関すること③地域経済の活性化に関すること――を設定。
観光振興では、県内事業者に対して海外キャッシュレス対応サービスへの加入を促進する他、インバウンド対応を意識し、バスやタクシーなどの二次交通事業者、土産物店などの小規模事業者、観光施設などを対象としたキャッシュレス導入セミナーやビジネスマッチングの機会を設ける。
県内事業者へのキャッシュレス決済の導入は、商工会議所や商工会など経済団体を通して促進を図るとしている。
地域経済の活性化に向けては、同社が持つ県内の消費動向データなどを元に意見交換し、県内への効果的な誘客手法を検討する他、PayPay商品券などのサービスを活用した地域振興策の実施も想定している。
協定の調印式は県庁知事室で行われ、同社から中山社長、千葉大輔西日本営業本部長らが出席。中山社長と岸本周平知事が協定書に署名した。
岸本知事は、県内のインバウンドがコロナ禍前の8割程度まで回復し、観光産業が活況を取り戻しつつある中、県内は中小零細事業者が多く、キャッシュレス対応が遅れているとして、同社との連携による対応の促進に期待を寄せた。
中山社長は「和歌山から新しいキャッシュレスの流れをつくるきっかけにしていきたい。和歌山の経済活性化に貢献できるように努める」と話した。