食べられる「スイートレモネード」

前号では、甘味と酸味のバランスが絶妙で、赤い果肉が特徴の「スタールビー」を取り上げた。希少な存在である国産のグレープフルーツ。今週は県内で栽培されている国産レモンの一種「スイートレモネード」を紹介したい。
スイートレモネードは「食べるレモン」と呼ばれる品種。果重は100㌘程度。糖度は高いもので10度に達し、酸度は一般的なレモン(25度程度)よりも極めて低い5度程度。
食してみると、甘味と酸味のバランスに優れ、レモン特有の風味もあり、その名のとおり「レモネード」の味わい。レモネードはレモンに蜂蜜などを入れて作るのが一般的だが、スイートレモネードは果汁とともに果肉も楽しめる果実となっている。果皮は容易に手でむくことができ、みかんのようにそのまま食べられる。
ワックスや防腐剤が添加されていないため、皮ごと薄くスライスし食べ物に添えることや、ジャムやマーマレードに加工することも可能。
原産はニュージーランド。自然に落ちた種が成長し、種子親を超える特性を持つものに成長し、偶然発見された「偶発実生(ぐうはつみしょう)」。日本で栽培が始まった時期は定かではないが、静岡県を中心に栽培。以前、筆者が居住していた沼津市では「沼津ブランド」に認定され、搾った果汁を瓶詰めにした飲料として販売。地域の新しい産業としての期待も大きい。
5月から6月ごろに開花し、収穫期は翌年の1月から5月ごろまで。収穫できる期間が長いことから、店頭に並ぶ期間も比較的長い。筆者は紀の川市で栽培されたものを産直市場で購入した。
食べるレモンという、常識を覆すような新しいかんきつ。店頭で見ることがあれば、試しに食べてみてほしい。(次田尚弘/和歌山市)