挑戦続け日本一に 前田農園の紀州白桃

桃を手に、自称「桃仙人」の前田代表
桃を手に、自称「桃仙人」の前田代表

ことしのおいしい桃日本一を決める「第3回全国桃選手権」が開かれ、46品の中から和歌山県紀の川市の前田農園(前田浩文代表)の「和歌山生まれの美白桃『紀州白桃』」が最高金賞、「黄色く綺麗な桃『つきあかり』」が金賞に選ばれた。前田代表は「お客さまに喜んでもらいたい思いで懸命に育てた桃。これからも挑戦し続けたい」と話している。

同選手権は、日本野菜ソムリエ協会(東京都中央区)主催。全国の桃産地からエントリーのあった桃を評価員である野菜ソムリエが食味し審査する。

生産者情報などを伏せ、甘さや香り、硬さ、滑らかさなどの食感を相対評価で審査し、合計得点で最高金賞、金賞、銀賞、銅賞、入賞が決まる。

前田代表は昨年、同選手権に桃を出品したが入賞せず。悔しい思いや反省を踏まえ再挑戦した。

同農園では約1・3㌶の面積に約20品種の桃とイチゴを育てる。除草剤や化学肥料は使用せず、土作りからこだわり、微生物を活用したモグラ堆肥と米ぬかを混ぜた土を取り入れている。

全ての枝葉に光が当たるよう、おわんの形に木を剪定(せんてい)している。豊かな土壌で太陽の恵みをたっぷりと浴びた、糖度は15度前後、うまみと酸味、香りのバランスが抜群に良い桃を育て、審査当日に、最高の熟度になるよう計算し収穫した。

審査では紀州白桃は、「濃厚だけでなく上品な味わい」「果汁もたっぷりで香りが立ち渋みもない」などの評価があり、前田代表は「賞を頂けて、お客さまが喜んでくれた。これからもお客さまのためにおいしい桃を育てたい」と話した。

さらにおいしい桃作りにも挑戦している。ことし試験的に育てた「ゆうぞら」が、ほぼ全滅してしまった。カメムシと病気にやられてしまったという。

今後は、土だけでなく、桃の木の根や葉のことも追求していき「なんとしてもゆうぞらを作りあげたい」と意気込んでいる。