こども落語全国大会で快挙 小阪、松本さん
小学生から高校生までの子ども落語家日本一を決める「第14回ひむかの国こども落語全国大会」で、和歌山市の「ぴょんぴょん亭うさぎ」こと小阪はやのさん(桐蔭高校3年)が中高生の部で最優秀賞に輝いた。小阪さんは小学校1年生から挑み続け、最後となる年につかんだ初の栄光に「やっと取れてうれしい」と笑顔。また、同市の「のりのり亭おむすび」こと松本滉正さん(宮北小4年)は小学生の部で初の優秀賞に選ばれ「練習してきたかいがあった」と喜んでいる。
同大会は7月27、28日に宮崎県日向市で行われ、15都道府県とアメリカから47人の小中高校生が出場。小学生、中高生の各部に分かれ、予選大会を突破した各4人が決勝に進み、各部門から最優秀賞と優秀賞が選ばれる。審査員はプロの落語家、桂春歌さん、桂文太さんらが務めている。
2人は落語を中心とした笑いの文化の研究、発表、交流などを行うボランティア団体「わかやま楽落会」に所属。月に1回ワークショップで学び、発表会やイベント、大会に出場し腕を磨いている。
わずか4歳で初高座 ラストイヤーに念願かなう
小阪さんが落語と出合ったのは、1歳から通い始めた英語教室がきっかけ。表現力をアップさせるため英語落語をしようと、同会のワークショップに参加。4歳から落語を始め、同年初めて高座に上がっている。
ラストイヤーとなる今大会では「動物園」という演目に初挑戦。仕事が長続きしない男が、動物園で虎の皮を着て虎のふりをする仕事を紹介され巻き起こる滑稽ばなし。違う演目で出場する予定だったが、「この演目の方が自分のキャラクターに合っているかもしれない」と思い、1カ月前に急きょ変更。3日ほどで覚え、客前で披露することで、より良いものに磨き上げていった。「お客さんの笑い声でどんどんノッて、心から楽しいと思いながら演じることができた」という。今後は大学進学に向け、しばらく落語は休止する。「早く決まれば卒業までに皆さんの前で落語を披露したい」とにっこり。「落語の道は厳しく大変な世界。将来は仕事をしながら趣味として続けたい」と話している。
兄弟で切磋琢磨 悔しさバネに表現磨く
松本さんは祖父の影響で、2歳下の弟と5歳から落語を始めた。昨年の大会では弟の「のりのり亭おにぎり」こと松本あさひさん(宮北小2年)が先に優秀賞を初受賞。「兄としてすごく悔しかった」といい、1年間毎日こつこつと練習を積み重ねてきた。
得意とするのは、所作と表情豊かに演じる表現力。大会前には気合を入れようと坊主頭にした。「目を見開いたり、眉毛を動かしたりするなど表情がより面白く見せられるようになった」と笑顔。「聞き取れなければ笑ってもらえない」と滑舌に苦心し、うまくいかず悔やし涙を流した日もあったという。
現在のレパートリーは3本。「できる演目をもっと増やしていきたい」と意気込み、「落語をしてお客さんが笑っている姿を見ると嫌な気分がすべて吹っ飛ぶ」とにっこり。ライバルの弟と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、1位を目指す。
わかやま楽落会事務局の山本匡徳さんは「4人の受賞者のうち2人が和歌山から出たことは非常にうれしい。会には2人に続く子どもが12人いるので、みんなが賞を取れるよう応援していきたい」と話している。