漆器店と和商生が開発 野球ボール型わっぱ弁当箱
和歌山県海南市岡田の㈱山家漆器店と、県立和歌山商業高校(和歌山市砂山南)の商業研究部は、野球ボールをデザインした曲げわっぱ弁当箱「キャッチボール曲げわっぱ」を制作した。全国高校野球選手権大会の和歌山地方大会で販売したところ、日常で使え、夏の思い出も感じられると高校球児を中心に好評を得た。
同部は、地元企業や県内の他高校とコラボレーションした商品をメルカリショップス「#アオハルバトンこだわりカンパニー」で販売しビジネスを学ぶ部活。
これまで、南部高校や紀北農芸高校と共にジャムや梅干しなどを販売。オリジナルのパッケージデザインを考え商品の写真撮影などを行い出品した。
同部の活動を知った山家漆器店の山家優一代表取締役社長(36)が、地場産業を多くの人に知ってもらうため、高校生と一緒に何かできないかと持ちかけたことがきっかけでコラボレーションすることになった。
生徒たちは、同店のわっぱ弁当箱を仕入れ、メルカリショップスで販売した。そんな中、出版物を取り扱う和歌山朝日会から、全国高校野球選手権大会の和歌山地方大会で販売する新しいグッズに関して、高校生視点のアイデアがほしいと同部に依頼があり、制作に向けて動き出した。
同部は山家漆器店のアドバイスを受け、野球ボールをイメージしたわっぱ弁当箱と、箸ケースの商品化を決めた。国産スギを使用したわっぱ弁当箱は、直径約15㌢の円形。山家漆器店で販売されているものを生かし、ふたに漆器の技法スクリーン印刷で野球ボールのデザインを施した。
また、「日本三大漆器」として紀州漆器とつながりのある、山中塗の産地である石川県が元日の地震で被害を受けたことから、今回の販売の利益を、能登半島地震の被災地支援に充てることを決めた。
完成した商品を大会会場に並べると来場者らに好評で、その日のうちに完売。追加販売が続き、弁当箱49個と箸ケース27個が売れた。同部の小栗美羽さん(17)は「商品になるまで値段つけなど、たくさんの壁がある。買い手になった時、商品の背景や価値を考えるようになった。地元の企業と一緒に貴重な経験ができた」と話した。
地方大会終了後も、同店は野球をする人を応援したいと、学校名や名前、背番号など名入れができる、オリジナルわっぱ弁当箱の注文を受け付けている。
山家社長は「漆器を知ってもらうきっかけになれば。作りたいものがあれば声をかけてください」と話している。
オリジナルわっぱ弁当箱は通常7700円のところ、特別応援価格として3850円と版代2200円~、一つから注文可能。問い合わせは山家漆器店にメール(yamaga-shikki@prinmail.com)かインスタグラム(yamagashikki)DMで。