多くの客が閉店惜しむ ケーキ店ひいらぎ

濃添さん(左から2人目)とスタッフの皆さん
濃添さん(左から2人目)とスタッフの皆さん

28日に閉店する和歌山市毛見のケーキ店「ケーキハウスひいらぎ」には、連日多くの人が来店し、店主の濃添嘉一(のぞえよしかず)さん(65)や、ケーキとの思い出の話に花を咲かせている。

一度区切りをつけようと、閉店を決めた野添さん。高品質で価格は安く、食べて安心、体にやさしいケーキを食べてもらいたいとの思いで、37年間作り続けてきた。

閉店を発表したことし6月以降、閉店を惜しみ、常連客や同店になじみのある人らが次々と来店している。

近所に住む桑原花菜子さん(29)は、感謝の気持ちを込め、好みのケーキをレジンで制作。イヤリングにして濃添さんにプレゼントした。桑原さんは「幼稚園の頃からずっと当たり前にあったお店で、家の窓を開けるとおいしそうな香りがしていた。閉店するのはさみしい」と話した。

濃添さんは、さまざまなエピソードを伝えてもらったといい、子どもの「はじめてのお使い」が同店だったこと、来店した子どもが欲しいケーキをうまく伝えられず泣いてしまったこと、また、別の人からは、95歳の両親が同店のケーキが食べたいと話し、入院前に最後に食べたケーキが同店のものだったことなどの思い出話に感慨深げ。

「これまでケーキを提供してからのことは分からなかったが、思い出を聞かせていただき、それぞれの思いを感じた」と話し、「皆さまに出会えたことや同店のケーキを食べてもらえたこと。スタッフに支えられたこと。全てが宝物で感謝しかない。また何かの形で、皆さまにお菓子の提供ができたら」と話している。

閉店まで焼き菓子を中心に販売する。午前9時から午後7時まで。火曜定休。