竜王戦第5局始まる 和歌山城ホールで決戦
将棋界最高位のタイトルを争う第37期「竜王戦」(日本将棋連盟など主催)七番勝負の第5局が27日午前9時、和歌山市の和歌山城ホール和室で始まった。4連覇がかかる藤井聡太竜王(22)=名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖=が先手2六歩、初戴冠を目指す佐々木勇気八段(30)が後手3四歩の出だしで戦いの火ぶたは切られた。対局は2日間で、勝敗は28日午後に決する見通し。
藤井竜王と佐々木八段は26日に和歌山市入り。聖武天皇の行幸から1300年を迎えた和歌の聖地「和歌の浦」を訪れ、写真撮影をした後、午後6時からダイワロイネットホテル和歌山での前夜祭に出席した。
会場には600人を超える応募の中から選ばれた約250人が出席。藤井竜王と佐々木八段が入場すると、大きな拍手に包まれた。
主催者の井上慶太日本将棋連盟常務理事らに続き、歓迎のあいさつに立った開催地の尾花正啓市長は、将棋を愛した八代将軍・徳川吉宗が御城将棋の式日を毎年11月17日に定めたことが現在の「将棋の日」の由来であることなどを紹介。「和歌山市が名誉ある対局の舞台となり、誇りに思う。歴史に残る名勝負を期待する」と話し、対局者の2人に、和歌山城が描かれた朱塗りの皿を贈った。
藤井竜王と佐々木八段への花束贈呈では、竜王戦を記念して10月に開かれた「和歌山こども将棋大会」の各部門で優勝した上野航生さん(伏虎義務教育学校2年)、兄の上野佑真さん(同5年)、伊藤浬さん(明石市立大久保中学校1年)の3人がプレゼンターとして登壇した。
2勝2敗で迎えた第5局について、藤井竜王は「改めて三番勝負の気持ちでいる。盤上に集中したい」、佐々木八段は「コンディションを整えたので、体調はばっちり。全力を尽くしたい」とそれぞれ決意を述べた。
司会から和歌山の印象を聞かれると、佐々木八段はパンダのイメージが強いとし、「勝負めしやおやつも楽しみたい」と笑みを浮かべ、藤井竜王は梅干しや和歌の浦の印象を語るとともに、大阪から特急くろしおに乗った際、「本当は新宮まで行きたかったが、またの楽しみにしたい」と話し、会場の笑いを誘った。