連日延期も「次こそ」 カイロス18日に再挑戦
和歌山県串本町のロケット射場「スペースポート紀伊」から15日午前11時に打ち上げ予定だった小型ロケット「カイロス」の2号機は、上空高層の強風のため、2日続けて発射が延期された。「次こそは」と応援の声が上がっており、射場を運営するスペースワン㈱(東京都)は、18日午前11時に次の打ち上げを行うことを決定した。
同社は15日、午前6時半ごろ、同9時半ごろに天候の判断を行い、いずれも打ち上げ実施としていたが、同10時20分ごろから行った最終判断で、14日と同様に射場上空の風が強くなり、連日の延期の判断となった。
正午から同町内のホテルで記者会見した同社の阿部耕三執行役員は「遺憾だが、天候が打ち上げの条件を満たさなかった。他の部分は滞りなく準備を進めていた」と述べ、ロケットの機体や射場には全く問題がないことを強調。「これまで十二分な応援を頂いている。次こそは、人工衛星の分離(軌道投入)をご報告したい」と打ち上げ成功に意欲を示した。
15日、射場から東西に約2㌔、田原海水浴場(串本町)と旧浦神小学校(那智勝浦町)の2カ所の公式見学場には、前日の突然の延期にもかかわらず、合わせて約2000人が来場。再挑戦の打ち上げを心待ちにしていたが、またしても延期が会場にアナウンスされた。
来場者の中には「次は来るかどうか分かりません」「昨日もきょうも延期なんて、ブチギレてます」などと不満をあらわにする人もいたが、落胆しながらも次回に期待を示す声も多く聞かれた。
カイロスを組み立て、射点に設置するために使用する「移動式射点組立足場」を製造した光洋機械産業㈱(東京都)の千坂修執行役員(54)=神奈川県逗子市=ら同社の皆さんは、3月の2回を含む4回全て見学場に足を運び、応援してきた。
同社は生コンクリートのプラントや仮設足場などの製造を手掛け、ロケットに関する仕事はカイロスが初めて。千坂さんは「自分たちが仕事に携わったロケットの打ち上げを見ることができるのは夢のよう。延期は本当に残念だが、次こそは打ち上げが成功してほしい」と期待を膨らませていた。
田嶋勝正串本町長は「見学に来てくれている皆さんに本当に感謝している。早くカイロスが飛んでいるところを見てもらいたい。再チャレンジで成功して、いい年明けを迎えたい」と話した。