子どもの1割が「世話」 ヤングケアラー調査

ヤングケアラーの実態調査について説明する尾花市長
ヤングケアラーの実態調査について説明する尾花市長

家族の介護など日常生活上の世話を過度に行っている子ども・若者「ヤングケアラー」について和歌山市は14日、市立学校の小中高校生を対象とした実態調査の結果概要を発表した。世話をしている人がいると答えた児童生徒は約1割で、市は今後、個別の実態把握や支援に取り組むとしている。

昨年6月、子ども・若者育成支援推進法が改正され、ヤングケアラーを、国や地方自治体が支援に努める対象としたことを受けて実施した調査。市立の小学校(義務教育学校を含む)5・6年生5515人、中学校(同)2年生2227人、高校2年生252人を対象に、昨年9月に無記名の記入アンケート方式で実施し、回収率は96・3%だった。

世話をしている人がいると答えたのは、小学生で620人(11・6%)、中高生で168人(7・1%)。教職員への調査でも、ヤングケアラーと思われる児童生徒がいると答えた割合が9・7%となり、ヤングケアラーの可能性がある児童生徒は1割程度いるとみられる。

一方で、ヤングケアラーという言葉を「聞いたことがない」と答えた児童生徒は、小学生の69・9%、中高生の56・9%といずれも過半数に達し、認知度は高くないことが浮き彫りとなった。

児童生徒が世話をしている人は、兄弟姉妹、母、父の順で多く、世話の内容は主に「兄弟姉妹の世話」、「家事」、「見守り」、「買い物・散歩に一緒に行く」となっている。

世話をしている児童生徒のうち、友人や家族、教員らに相談したことがあると答えたのは、小学生で141人(22・7%)、中高生で30人(17・9%)。

市は来年度、ヤングケアラーの相談や学校での助言指導などを行うコーディネーターを2人、市こども家庭センターに配置する。児童生徒には、出前講座の実施や相談案内カードの配布などを行い、認知度を高める取り組みも進める。

尾花正啓市長は14日の定例記者会見で、「一定数の方がヤングケアラーで困っている状態があると思っている。個別に支援していく必要があり、実態調査に基づいて進めていきたい」と話した。

調査結果の詳細は今月中に市ホームページで公表する。