世界最高峰レースへ 和大生がソーラーカーで

和歌山大学の学生チームが設計・開発した新型ソーラーカー「YATA(ヤタ)」が完成し、オーストラリアで8月に開催される世界最高峰のレース「Bridgestone World Solar Challenge2025」への出場が決まった。チーム代表でシステム工学部4年の大倉啓輔さん(21)は、「途中棄権した前回大会の悔しさを糧に、今回こそは完走して10位入りを目指したい」と意気込んでいる。
チームは同大の学生自主創造支援部門「クリエ」に所属する「和歌山大学ソーラーカープロジェクト」。2003年に発足し、現在は1年から4年までの約50人が、「和歌山から世界へ」のスローガンの下、活動している。
ヤタは全長約5・5㍍、幅約1・5㍍で、最高速度は時速100㌔ほどある。設計から組み立てまで全て学生たちが担当した。2023年の前回大会の初出場経験を生かし、約1年半をかけて、車両の軽量化や電気系統をリニューアルするなど新たに開発。車両が3輪構造であることから、日本神話に登場する熊野の神様の使いの三本足のカラス「八咫烏(ヤタガラス)」にちなんで名付けられた。
5月31日に、ガレージの提供元である和歌山市のノーリツプレシジョン㈱で完成お披露目会が開かれた。車両は6月16日以降に和歌山を出発して、名古屋から現地へ海上輸送される。チームの学生19人は8月1日ごろから現地入りして、3000㌔の大陸横断レースに挑む。
大倉さんは「メーカーに部品を依頼するチームがほとんどだが、全て学生で手作業したことは私たちの強みです。完成を目指してメンバーで支え合った思い出と、協力企業からの期待を胸に、世界最高峰の試合で力を出し切りたい」と話している。