米国で浸透「ライドシェア」

ライドシェアの車内から
ライドシェアの車内から

前号では、公共交通の利用促進と環境対策を目的に、ホノルル市を走る路線バスで取り入れられている「パーク&ライド」を取り上げた。昨今、海外では「ライドシェア」が広まり、ホノルル市内でも一般的に。今週は安価で便利に利用できる海外のライドシェアを紹介したい。

ライドシェアはアプリなどを使いドライバーと利用者をマッチングさせ、目的地まで利用者を有償で運ぶサービス。日本のタクシーアプリとは違い、タクシー会社に属さない一般ドライバーの自家用車が使用される。日本でも昨年4月からタクシー会社が運営主体となり、タクシーが不足する時間帯に限り一般ドライバーが自家用車で利用者を運ぶ「日本版ライドシェア」が解禁されている。

ホノルルでは日本国内でも使用できる「ウーバー」、アメリカで普及している「リフト」、ハワイの企業が運営する「ホロホロ」がサービスを提供。迎車までの時間や目的地までの所要時間が分かり、運賃は事前に確定。チップを含め決済はアプリ上で完結する。時間帯や車種によって差があるが、料金は日本のタクシー並みで、現地のタクシーと比べると半額程度となる。

乗車後は目的地を伝える必要がなく、ドライバーが積極的に会話を求めてくることもないため、英語が苦手な観光客でも気軽に利用できる。日本のようなきめ細かなサービスは期待できないが、安価で便利に目的地へ移動するという意味では優れたサービスである。

安全性やタクシー会社とのバランスから、日本国内での浸透は限定的だが、地域の交通を支える一つの手段であることは確か。公共交通を維持しつつ、利便性の高い新しいサービスとの融合で、ストレスなく移動できる社会の仕組みが見えた。(次田尚弘/ホノルル)