直線で約10㎞「兵庫県洲本市」

洲本城跡から市街地を望む
洲本城跡から市街地を望む

前号まで、遠く離れた地域でありながらも、海を通じてさまざまなつながりがあるホノルルと和歌山の歴史や文化について取り上げた。海の彼方にどのような地域があるのか、雄大な海を見て想像を膨らませることは楽しいもの。

和歌山市から西方向に開けた海を眺めると、天気が良ければ海の向こうに街が見える。兵庫県洲本市。ここは海を隔てた和歌山市の隣接市となる。遠く離れたホノルルと一転、今週から海でつながる隣町を紹介していきたい。

洲本市は瀬戸内海に浮かぶ淡路島の中央に位置し、島内における行政の中心地である。人口は約3万9000人。洲本市(由良)と和歌山市(加太)とは紀伊水道を挟み、直線で約10㌔の距離。仮に橋が架かっていれば、時速80㌔で走る車で10分足らずで到達する計算になる。

和歌山市からのアクセスは明石海峡大橋を経由するルートで約160㌔、時間にして約3時間。和歌山港から徳島港へフェリーで渡り、大鳴門橋を経由するルートもあるが、約4時間を要する。1990年代までは、大阪府岬町の深日港から洲本港へフェリーや高速艇が運航されており、船で洲本市へ行った記憶がある方がいらっしゃるかもしれない。

近年、洲本市と岬町が両市町の広域交流の促進と地域活性化を目的に、旅客船の定期航路の復活に向けた取り組みが進んでいる。2025年度も洲本港と深日港を約40分で結ぶ旅客船を、夏季の土日祝日限定で運航するなど、海を通じたにぎわいの創出が図られている。

かつての航路が復活し、和歌山市からのアクセスが向上している洲本市の魅力を伝えていきたい。(次田尚弘/洲本市)