刃物を持った不審者想定 商業施設でテロ対処訓練

犯人制圧の訓練をする署員
犯人制圧の訓練をする署員

テロに対する危機意識を高め、有事に備えようと岩出署は18日、フォレストモール岩出(和歌山県岩出市中迫)で官民一体となったテロ対処訓練を実施。対処法や手順を確認した。

2022年にオープンした同モールには、スーパーなどの商業施設や銀行、美容院、クリニックなどがあり、不特定多数の人が集まるテロの標的となりやすい場所。

大阪・関西万博、来年秋に県内で開催が予定されている全国育樹祭に向けたテロ対策の一環として初めて実施。同署をはじめ、警察官ら約25人と同モールに店舗があるメッサオークワ岩出店の従業員4人が参加した。

訓練は同店に刃物を持った不審者が現れた想定で行われた。従業員が110番通報をし、店内の客には外に出るよう避難誘導。通報を受けた同署員が、刃物を振り回して向かってくる犯人を制圧、逮捕した。

犯人役を務めた同署員が「なんじゃコラァ!」と暴れ、警察との迫真に迫る様子を来店者は驚きの表情で見守った。

同店の谷山有紀店長は「怖かったが、実践的な訓練になった」とし、「迅速にお客さんに避難してもらうには、従業員や各部門への具体的な指示が必要だと思った。今回の経験を生かしたい」と話した。

訓練後は、来店者にテロ未然防止の啓発グッズを配布。未然に防げるよう、不審者や不審物を見かけたらすぐに警察に通報するよう呼びかけた。

同署の久保静志警備課長は「お客さんが多いときには混乱が生じると思うので、従業員と警察の連携が必要。今後1年に1回は訓練を行っていきたい」と話した。