和北、桐蔭高の4選手に期待 国スポ・ローイング

国スポに挑む(左から)村上さん、吉村さん、山﨑さん、髙山さん
国スポに挑む(左から)村上さん、吉村さん、山﨑さん、髙山さん

滋賀県で開催中の国民スポーツ大会(国スポ)で、4日に始まるローイング(ボート)競技1000㍍「ダブルスカル」に和歌山県代表で出場する和歌山北高校ボート部女子、桐蔭高校ボート部男子の4選手の活躍に期待が集まっている。4人は「1位になった者だけが他のボートを見渡せるという最高の景色がある。その景色を目指して力を出し切りたい」と意気込んでいる。

出場するのは和歌山北高3年の吉村美紅さんと村上葉留さんのペアと、桐蔭高3年の山﨑有平さん、2年の山朔さんのペア。7月に広島で行われた全国高校総体(インターハイ)の同種目で吉村・村上ペアは2位、山﨑・髙山ペアは3位という好成績を挙げた。

ローイング競技は、オールで水をかき、前後に動く座席で脚力を使いながらボートを後ろ方向に推進させる。上半身だけでなく下半身の力や体幹も重要とされる。ダブルスカルは2人乗りで、共に息を合わせてオールをこぎ、ゴールまでの速さを競う。

髙山さんは「自然の中で、速度が上がるにつれ風を切る爽快感が魅力」と話す。

練習で息を合わせる和北の吉村さん㊨と村上さん
練習で息を合わせる和北の吉村さん㊨と村上さん

吉村・村上ペアは小学6年生から同じクラブに所属し、互いの家で遊ぶほどの仲良し。シーズン中は週6日、和歌山市湊の紀の川でボートに乗り、オフ期間はマシーンなどで厳しい練習を重ねてきた。吉村さんは「つらい時も互いに声をかけ励まし合ってきた」と話す。

強みは「スタートスパート」。高身長の選手が多い同競技で、体格で引けを取る分、2人はオールを入れるタイミングを完璧に合わせ、いち早くスピードに乗る。

村上さんは「単純な動きを細かいところまで合わせられるように、常に考え続けるのが精神的にきつい。インターハイで悔しい思いをしたので、次こそリベンジを果たしたい」と力強い。吉村さんは「落ち着いて練習通りのパフォーマンスを最後まで出し切り、笑顔で終わりたい」と話す。

力強くオールをこぐ桐蔭の山﨑さん㊨と髙山さん
力強くオールをこぐ桐蔭の山﨑さん㊨と髙山さん

一方、男子ペアのインターハイの表彰台は、桐蔭ボート部創部初の快挙。山﨑さんは「向上心と探究心を常に持ち続け、限られた時間の中で動画分析などを取り入れた質の高い練習に努めてきた」と話す。髙山さんは先輩の山﨑さんに直に意見を伝え、時にぶつかりながら課題に取り組んできた。共に無駄のない動きで、最後250㍍のラストスパートまで力を出し切る強みを持つ。

山﨑さんは「4チームだけが残る決勝の舞台で高みを目指したい。日頃からいろんな人に支えてもらった期待に応えて、悔いのない試合にしたい」、髙山さんは「周囲にメンタルで負けず、練習の成果を出して自分らしくこぎたい」と話す。

和歌山北高ボート部顧問の田中大誠教諭(37)が指導を始めた2015年ごろは、両校とも予選通過が難しかったが、指導者らが学校の垣根を越えて知識や技術を共有し、県全体の競技力が向上。近年は全国高等学校選抜大会の決勝の舞台に名を連ね、ことし、吉村・村上ペアが優勝するなど、全国の強豪校と肩を並べるまでになった。

村上さんは11月にトルコで開かれる世界大会の日本代表に選ばれている。田中教諭は「テクニックや課題解決力は他より秀でている。国スポでいい思い出として残るように最後までやり切ってほしい」と期待を寄せている。