写真がつなぐ縁に感謝 浜の宮で撮影する中嶋さん

シニアカーでほぼ毎日、近くの浜の宮ビーチに出かけ、写真を撮り続ける和歌山市毛見の中嶋喜子さん(81)。「手足が動かしにくくなっても、浜の宮の景色を撮影できるのは喜び」ときょうもシャッターを切る。
和歌山市毛見に生まれ育ち、生粋の「毛見っ子」という中嶋さん。中学校を卒業後、繊維工場で16年間勤務。その後は看護助手として働いた。旅行好きで景色を撮りたいと、カメラにも興味があった。
40歳の頃、友人が一眼レフカメラを購入したことがきっかけで、中嶋さんも欲しくなり初代相棒となる一眼レフカメラを購入。写真教室にも通い腕を磨いた。 串本でライトアップがあると聞けば仲間たちと泊まりで撮影会へ行き、温泉を探しに奈良県まで遠出するなど、精力的に活動した。パソコン操作やプリントも自分で行う。
60歳からは海南市の大野公民館写真教室にも通った。「みんなで同じ場所を撮っても、人によって全然違う写真になることが面白い」と写真の魅力を話す。
少しずつ足が不自由になり、7年前から移動にはシニアカーを利用している。教室までメンバーが送迎してくれていたが、これ以上迷惑はかけられないと、20年以上通った写真教室をことし7月に卒業した。
「ここに来れば元気をもらえる」と今はほぼ毎日、夕暮れ時に浜の宮ビーチを訪れ、だるま夕日やウィンドサーフィンをする人、毎日変わる夕焼けなどを、3代目の相棒で撮影している。
「カメラを通じて出会いや、つながった縁がたくさんある」と話し、写真を撮る人や犬の散歩をする人、サーファーなど、顔見知りになった人と話をすることも楽しみの一つだという。
「浜の宮で泳いだり、おやつに持ってきた豆を海に漬けておいて柔らかくして食べたりした。ここは風呂場みたいなところよ」と思い出も多い。「夕方の何とも言えない雄大な景色や潮風の匂い、自然の移り変わりが楽しみ。手を動かしにくくなってきたけれど、なんとかシャッターは押せる。ただ楽しむだけ。これからも撮り続けたい」と笑顔で話している。


