映画『国宝』で熱気 ロケ地のホテルいとう

撮影場所近くのテラスを紹介する北田支配人
撮影場所近くのテラスを紹介する北田支配人

興行収入が173・7億円を突破し、邦画の実写作品の歴代最高興収を22年ぶりに更新した映画『国宝』。作品中の名シーンが撮影されたのが、和歌山県岩出市宮のホテルいとう。公開から半年近くたった今もレストランは連日満席、撮影に使われた部屋は予約が取れないほどの人気となっている。

同映画は、吉田修一の同名小説を吉沢亮主演で映画化。任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生をささげた主人公・喜久雄の50年を描いた壮大な一代記。

北田信幸支配人によると、撮影が行われたのは昨年4月。吉沢さんをはじめとするキャスト、スタッフ約100人が訪れた。

朝7時から夜11時までの間、ワンフロアを貸し切りにして、キャストの着替えやメイク室、楽屋として使用。ホテル内数カ所で撮影されたが、映画で使われたのは客室と屋上の2シーンだったという。

リハーサルの様子を見た北田支配人は「ものすごい緊張感だった」と振り返る。客室では主人公が疲れ果てて眠るシーンを撮影。テレビや冷蔵庫などの小道具が持ち込まれ、ベッド、カーテン、じゅうたんはそのまま使用されたという。

主人公が歌舞伎界から追われ、失意の中舞い踊る、物語の中で重要なシーンが屋上で撮られた。

撮影の合間には1階の食事会場でスタッフと出演者にカレーやうどんなどを提供した。

「映画が公開されてから一日に何十件もの問い合わせがある」と北田支配人。6階のレストラン「シャトレーヌ」では、キャストやスタッフが食べたカレーを「国宝カレーランチ」(1980円)として6月からメニューに加えたところ、平日も満席で、土日は1時間待ちの日もあるという。

北田支配人は「撮影で使われた屋上は立ち入り禁止となっているが、レストランのテラスからは映画のシーンとほぼ同じ風景を見ることができます。予約してからご来店ください」と話す。

撮影で使用した部屋のルームナンバーは公表していないにもかかわらず、たくさんの問い合わせが入っているという。

何度も映画を見たという北田支配人は「普段見ている景色とは違い、きれいに撮ってもらえてうれしい。多くの人に映画を見て、そのムードを味わいに来てほしい」と呼びかけている。