地域の宝を未来へ 鞆淵八幡神社が修復費用をCF

800年以上前から地域の人によって大切に守られてきた和歌山県紀の川市中鞆渕にある鞆淵八幡神社。その長い歴史とともに境内の施設の老朽化が進み、大規模な保存修理が必要となっている。しかし、同地区は人口減少が急速に進み、過疎化が深刻。住民だけで守り、支えるのが困難な状況を乗り越えようと、クラウドファンディング(CF)を活用した修復費用の募集に初めて乗り出した。
平安時代に京都の石清水八幡宮の別宮として創建されたとされる。1462年(寛正3)に再建された本殿と、室町時代前期の建立とされる大日堂は国の重要文化財。1228年(安貞2)に、後堀河天皇の勅命によって石清水八幡宮から送られた日本最古の神輿は、国宝に指定されるなど、数々の社宝が遺されている。
同神社は創建以来、地域の人々の心のよりどころとなり、住民が一丸となって日常の維持管理や保存修理を重ねて守ったことで、昔の姿を維持し、歴史を今に伝えている。
田中照巳宮司(77)は「これまでは何とか地区の人の協力を得ながらやってきたが、鞆渕地区の人口は1990年には965人だったところ、現在は385人で、そのうち246人が65歳以上となっている」と話す。
大規模な保存修理には総額9000万円以上が必要となるそうで、国や地方自治体の補助金があっても、所有者負担は2000万円以上となり、人口が減少した鞆渕地区の住民だけで捻出するのは困難な状況だという。
田中宮司は「地域の宝、日本の宝を未来永劫受け継いでいくには、より多くの方々に応援していただくことが必要不可欠」と、クラウドファンディングの挑戦を決意した。
目標金額は500万円。集まった資金は、重要文化財の鞆淵八幡神社本殿や大日堂の保存修理の他、御神灯など神具の追加や参道修理に活用する。「皆さまからの支援を保存や修理の資金とするだけではなく、この取り組みを通じて、鞆淵八幡神社の歴史と魅力を知っていただき、神社のファンになっていただくことも大きな願い」と田中宮司。「支援が国宝や重要文化財を次世代につなぎ、地域文化を守る力となります。温かいご支援をお願いします」と呼びかけている。
締め切りは12日午後11時。支援やリターンなど詳細はこちらで確認できる。問い合わせは同神社(℡0736・79・0198)。

