知恵から生まれた「豆ごはん」

前号では、旬を迎えている「えんどう豆」の種類とそれぞれの魅力を取り上げた。既に「豆ごはん」を炊いて食べたという読者も多いかもしれない。豆ごはんは全国的に親しまれる日本の郷土料理の一つであるが、起源をたどると産地である和歌山にあるという。今週は豆ごはんが生まれた経緯と、趣向に合わせたおいしい炊き方を紹介したい。
春の到来を告げる豆ごはんであるが、始まりは農村に暮らす人々の知恵から。秋に収穫した米の貯蔵量がだんだん少なくなってくる春。ちょうど収穫期を迎えるえんどう豆を米に混ぜることでかさを増し、米の消費を抑えるという先人の知恵が生み出したのが、豆ごはんとされる。
米の消費を抑えようという発想が起点であるものの、その味わいや手軽さが定着し、次第に郷土料理として地域に根差していく。「うすいえんどう」が県内や大阪府内で広く流通するようになり、やがて春の風物詩として家庭に浸透していった。
豆ごはんの炊き方は大きく分けて2通り。豆の風味を存分に味わいたい人は米と一緒に初めから炊き上げる方法がおすすめ。豆の風味がごはんに移り、甘さが引き立つ逸品になる。
一方、豆の風味はほどほどにして食感と見栄えを重視したい人は、ごはんが炊き上がる5分程前に豆を入れるのがおすすめ。豆の風味が苦手という方でも、ほのかな甘みと美しい彩を楽しみながらいただくことができる。
豆の産地で暮らす人々の知恵から生まれた豆ごはん。今や季節の味として定着し、もはや少しぜいたくさを感じるまでの存在になりつつある。春の到来を告げる日本の郷土料理として、後世に引き継いでいきたい。(次田尚弘/和歌山市)

