学生を応援、夢の共演 寺下さんコンサート

和歌山市出身で国際的に活躍するバイオリニスト・寺下真理子さんによる「Home of Spirits(ホーム・オブ・スピリッツ)スペシャルコンサート」が14日、市民会館大ホールで開かれた。故郷の学生たちにコロナ禍でも未来に進んでいくエネルギーを届けようと、約800人を無料招待。市内の中高生との夢の共演を交え、楽しさあふれる時間となった。

主催は㈱COLOR'S INC、城善建設㈱、㈱紀泉ふるさと創研。後援した県、市をはじめ地元の官民の多くの協力で実現し、尾花正啓市長も期待と祝福のメッセージを寄せた。

故郷の学生を応援する寺下さんの思いに共感し、大人気ピアニストの角野隼人さんが初めて和歌山での演奏会に出演。

角野さんは、音楽家としては異色の東京大学大学院を修了し、国内外での演奏活動に加え、「Cateen(かてぃん)」の名義で自ら作編曲した作品の演奏を配信するユーチューバーとしても多くのファンを持ち、チャンネル登録者は67万人を超える。

コンサート第1部は、寺下さんと角野さんがモリコーネ「ニューシネマパラダイス」、フォーレ「夢のあとに」などを演奏。モンティ「チャルダーシュ」ではステージの撮影が許可され、多くの来場者が演奏の写真や動画をSNSに投稿していた。

第2部は中高生との夢の共演となり、角野さんは、二宮煌太さん(開智中1年)、池田彩乃さん(桐蔭高2年)とそれぞれピアノの4手連弾を披露した。

演奏後のトークでは、角野さんの大ファンという二宮さんは「緊張したが、すごく楽しかった」と感激の様子で、角野さんも「すごく楽しんでいる様子が伝わってきた」と笑顔。将来の夢を聞かれた池田さんは「音楽の道に進みたい」と力強く話した。

最後は、寺下さんが作曲した「Home of Spirits」の合唱版を和歌山児童合唱団と共に演奏。寺下さんは「誰もがその人にしかない輝きがある。困難に直面した時も前に一歩進んでいこう、もっと自分を輝かせていこうと思ってもらいたい」と作品に込めた思いを話し、来場者に感謝した。

終演後も感動に包まれた会場の拍手は鳴り止まず、寺下さんと角野さんは予定になかったアンコールとして、再び「チャルダーシュ」を演奏し、笑顔で手を振っていた。

和歌山児童合唱団と自作で共演する寺下さん(中央)

和歌山児童合唱団と自作で共演する寺下さん(中央)