下津の課題さまざま 知事タウンミーティング

岸本知事に意見を述べる住民ら
岸本知事に意見を述べる住民ら

岸本周平和歌山県知事が直接県民の声を聞き、県政を共につくることを目的に行っている「タウンミーティング」が19日、海南市内で初めて、道の駅「海南サクアス」(下津町小南)で開かれ、地元から農業者や漁業者、商工会、NPOの代表ら10人が参加して意見交換した。

農業者からは下津特産のミカンについて、農家の高齢化が進み、肥料やり、収穫などの作業が困難になっていること、販売単価は上昇しているものの、必要経費も高くなり、手取りの収入は増えず、生産者の維持にもつながっていないとし、「20年後には生産量が半分になる」などと厳しい現状の訴えがあった。

ミカンの収穫時期に課題となる労働力確保に取り組んでいる参加者は、70人以上の若者を全国から集め、空き家も活用して収穫を手伝ってもらっている現状を話すとともに、助けを必要とする農家はさらに増えていることから、移住や関係人口の増加にもつながる継続的な仕組みをつくれないか模索していることなども紹介した。

漁業者からは、農業以上に後継者不足が深刻との声が上がった。漁船や漁業者の数は減少が続き、漁港などのインフラは更新されず、災害にも弱く、技術や文化の継承も困難な現状を指摘。漁業者だけで解決するのは極めて難しく、行政の取り組みを求める一方、漁業者が増えることは、衣食住の全てを地域で行う人が増えることになり、地域の荒廃を止めることにもつながると話した。

発達障害など個々の子どもの特性に対応した教育や子育て支援の在り方、地域の多世代が交流できる場となる子ども食堂の運営の課題、自家用車がなくても高齢者が生活できる公共交通の整備、観光の活性化など、話題は多岐に及んだ。

岸本知事は出席者の意見や提案に感謝し、「宿題として持ち帰り、皆さんにフィードバックしていきたい」と話した。