松江地区お帰りパトロール隊 20周年祝う

ルービックキューブで描いた記念作品と、式典に参加した松江地区の皆さん
ルービックキューブで描いた記念作品と、式典に参加した松江地区の皆さん

和歌山市松江地区で児童の登下校を見守る「お帰りパトロール隊」(川口敏夫隊長)は結成から20周年を迎え、9月28日に記念式典と節目を祝うイベントを松江小学校で行った。同隊のメンバーや住民らは、今後も団結して地域の安全・安心を守り、防犯の取り組みを継続していく思いを新たにした。

シンクロニシティによるパフォーマンス
シンクロニシティによるパフォーマンス

同隊は2003年、大阪府熊取町で下校途中の小学生が行方不明になった事件を機に「地域の子どもは地域で守ろう」と、連合自治会が主体となり250人で04年4月に活動をスタート。現在も自治会、婦人会、老人クラブ、地域安全推進員ら419人の隊員が、交差点や人通りの少ない通学路に立ち、児童の登下校を見守っている。

式典では川口隊長(76)が「『松江は一つ。松江の子どもは松江で守る』を合言葉に、これからも子どもたちの安全安心のための活動を継続していきます」とあいさつ。同隊の20年の歩みが紹介された。

地道に活動を続け、地域の防犯にも大きく貢献。同隊創立当時、和歌山北署管内の刑法犯認知件数は2085件だったが、23年には604件に減少。3年生児童が自発的に隊員にお礼の手紙を渡したことをきっかけに、子どもたちが隊員に感謝の気持ちを表すイベントとして「ありがとう集会」が2007年から毎年開かれている。12年には安心・安全なまちづくり関係功労者表彰で、内閣総理大臣賞を受賞した。

創立時に隊長を務めた川崎敏弘さん(86)は「立ち上げた時は、20年続くなんて夢のようなことだと思っていた。みんなが一致団結し、この日を迎えられ感無量」と喜びの表情。

川野一郎校長は「『行ってらっしゃい』、『お帰り』の声かけだけでなく、子どもたちの相談相手や、『いつもと表情が違っていた』など学校では見ることができない部分を教えてもらい、児童と教師をつないでくれている」と感謝。全国から「どんなふうに継続しているのか」などの問い合わせがあるという。

舞台では20周年を祝い、県警音楽隊の演奏があり、6面立体パズルのルービックキューブとコンビジャグリングで魅せる2人組の大道芸人・シンクロニシティのラガーさんとチャチャさんがパフォーマンスを披露。ルービックキューブの6色を使い、絵や文字を作り出すと、会場は大きな拍手に包まれ「パトロール隊祝20周年」と描かれた作品を寄贈した。

ラガーこと末吉正和さん(44)は同市の八幡台小学校出身。「自分は今、子どもの学校のPTA会長をしている。自分の育った地域で子どもたちを守る活動が長く続いていることを誇らしく思い、全国に普及することを願っている」と話していた。

式典後、会場では背中で跳びながら壁を駆け上がり技を繰り出すウォールトランポリン、マグロの解体ショーがあった。校庭にはキッチンカーが並んだ他、夜には花火が打ち上げられ、20周年を盛大に祝った。