冬の食卓を彩る「柑橘鍋つゆ」
11月7日、大阪管区気象台は近畿地方で「木枯らし1号」が吹いたと発表。昨年より4日早く、朝晩は冷え込むようになった。秋の深まりを感じるこの時期は、お鍋の季節の到来でもある。
昨今、豆乳鍋を筆頭に、豚骨醤油鍋やキムチ鍋まで、さまざまな「鍋つゆ」が販売され、冬の食卓のレパートリーが増えた方も多いのではないか。先日、とある食料品店で「柑橘(かんきつ)鍋つゆ」なるものを見つけた。柑橘を使った鍋つゆとはどのようなものか、実際に食してみた。
購入した鍋つゆには3種の柑橘が使われている。「柚子(ゆず)」「酢橘(すだち)」「柚香(ゆこう)」の果汁が配合され、塩味の鶏ガラスープをベースにしている。使用されている食材は全て徳島県産。柚香という柑橘は徳島県の山間部でのみ栽培されている希少品種。柚子とダイダイの自然交配による品種とされる。
徳島県では「香り柚子、酸味酢橘、味柚香」といわれるほど親しみ深い柑橘のひとつ。筆者が購入した鍋つゆには、3種全てが配合されており、徳島県が誇る柑橘を凝縮した逸品である。スープに使用されている鶏ガラも徳島県産の「阿波地鶏」。大手航空会社による地域振興のプロジェクトの一環で開発されたもので、地域の特産品の消費拡大を目指している。
鶏ガラスープであるため、鶏肉をベースに野菜を入れ、鍋つゆを注ぐ。食してみると柑橘のほのかな風味に薄い塩味を感じる。鶏ガラスープであるが強調し過ぎることなく、柑橘のうま味を引き立てる程度の薄味で、あっさりとした鍋を楽しみたいときにオススメしたい。
地域の特産品を組み合わせ、人気を博す鍋つゆの領域への挑戦。あっさり味の新たなジャンルとして、食卓に浸透することを期待したい。(次田尚弘/神戸市)