「のぼれる灯台」16基 制覇の吉田さん新連載

全国で44人目の達成者として、参観灯台(のぼれる灯台)のスタンプラリーを完遂した和歌山市の会社員、吉田武司さん(62)の新連載「のぼれる灯台」(全19回)が、5日にスタート。隔週水曜日に掲載する。全国の「のぼれる灯台」16基について、主に解説や時代背景、エピソードなどを写真と文章で紹介。吉田さんは「灯台が見えた時のわくわく感がたまらなく、ときめきがあった。皆さんにも同じような経験をしてもらえたら」と話している。
吉田さんは兵庫県丹波篠山市生まれ。三菱電機㈱に入社し、製品の開発設計や知的財産企画管理に携わっている。
2016年から関東へ単身赴任。18年に妻の陽子さん(56)と、観光で千葉県銚子市の犬吠埼灯台へ行った際、公益社団法人燈光会が主催する「のぼれる灯台」16基を巡るスタンプラリーのキャンペーンを目にしたことをきっかけに、全基制覇チャレンジを決めた。
20年7月に開始し、休日を活用して青森から沖縄県まで夜行バスや電車、自家用車、船などの交通手段を使い約1年半かけて達成した。
中でも印象深いのは、青森県の尻屋埼灯台。現地で、碧い空を背景に立つ白い巨塔を見た時は、「ずっと見たかった光景だったので願いがかなった。感極まった」と話す。本州北端にある同灯台は11月~翌3月の期間は閉鎖される。改修工事も行われていた頃で、吉田さんが訪れたのは改修工事が終わった直後の10月17日だった。翌春には関西への転勤も決まっていたため「まさに千載一隅の機会だった」と振り返る。
他にも、土足禁止の灯台や石造り、しま模様の灯台などもあり、連載では吉田さんの体験なども盛り込んだ内容となっている。
何カ所か同行した陽子さんは「自然と一体化した絶景がそこにはあった。灯台巡りは貴重な2人の時間でした」と笑顔。吉田さんは「灯台は陸の端にあり、人の開拓がなく自然豊か。『山、海、灯台』と、灯台の立つ場所の景色は似ているのに一つとして同じものはない」と魅力を話す。
完遂後、「生きた証しに作品として残したい」と、訪れたそれぞれの灯台の特徴や地域性、文化など、記録していたことをまとめた『のぼれる灯台16』を幻冬舎から出版した。
全国の書店やネット販売で購入できる。定価1760円。B5判、120㌻。