村上氏の擁立取り下げ 参院選で立憲民主

擁立取り下げについて記者会見する村上氏㊨と山本県連代表
擁立取り下げについて記者会見する村上氏㊨と山本県連代表

立憲民主党和歌山県連は8日、今夏の参院選和歌山選挙区(改選数1)に党公認で立候補を予定していた村上賀厚氏(65)の擁立取り下げを発表した。6日に立憲、日本維新の会の両党本部が候補者の一本化で合意したためだが、和歌山市内で記者会見した山本忠相県連代表は「公認権を持っているのは党本部だが、今回の決定は非常に不服のあるものだ」と悔しさをにじませた。県連は同選挙区を自主投票とし、維新候補の支援はせず、比例票の獲得を重点に参院選を戦う。

維新は、32ある参院選の1人区で野党候補の一本化を呼びかけ、これを拒否した国民民主党の候補がおらず、立憲と維新が競合する和歌山と岐阜の2選挙区について、両党が協議を実施。両党本部は6日、和歌山では立憲の村上氏を、岐阜では維新の候補を取り下げることで合意したと個別に発表していた。

維新は、世論調査に基づく「野党間予備選」を行った結果だとする一方、立憲は「総合的な判断」による一本化で、予備選によるものとはしていない。

山本氏も、予備選の方法など協議したことは一切なく、「参加したつもりも、当事者になった覚えもない。向こう(維新)が一方的にやっていると言っているだけの話」と述べ、村上氏は「予備選をやったと言い、『村上は弱くて負けたんだ』みたいな感じで、とんでもない話だと思う。実際そんなことは全くやっていない」と不快感を示した。

両党は互いの候補を支援しないとしており、山本氏も「一本化ではあるが、野党共闘ではない」との認識。一本化を受け、維新県総支部から面会の打診があることについて山本氏は「われわれが維新の候補を応援する可能性は0%なので、会う意味はないと思う」と述べた。

公認が取り消されることを受け、無所属での立候補の可能性について問われた村上氏は、「出るなら無所属なのかなという感じはあった」としながらも、支援団体との調整や体制を整える難しさなどから「今は考えていない」と否定。選挙戦に影響があるとして、党から「我慢してくれという話があった」とも明かした。

和歌山選挙区には現時点で、参政党新人で訪問看護会社役員の林元政子氏(51)、無所属新人で不動産会社経営の末吉亜矢氏(54)、自民党新人で元衆院議員秘書の二階伸康氏(47)、無所属新人で前有田市長の望月良男氏(53)、維新新人で県議の浦平美博氏(53)、NHK党新人で元総務省職員の本間奈々氏(56)の6人が出馬を予定。いずれも保守系や保守に近い政治的立場と目されており、村上氏の立候補取りやめにより、リベラル系の投票先が失われるとの懸念の声もある。