全国鑑評会で金賞 中野BC「紀伊国屋文左衛門 黒」

金賞を受けた清酒を手に笑顔の中野代表
金賞を受けた清酒を手に笑顔の中野代表

和歌山県海南市藤白の酒造メーカー、中野BC㈱の日本酒「大吟醸 紀伊国屋文左衛門 黒」が、令和6酒造年度「全国新酒鑑評会」で25年ぶりの金賞に輝いた。先日の県清酒研究会(県酒造組合連合会主催)での知事賞に続く快挙。中野幸治代表取締役(49)は「造り手の本気の魂がこもったお酒を評価していただいた。新たなスタートとして、全てにおいて常に高品質なものを出し続けていきたい」と喜んだ。

全国新酒鑑評会は、独立行政法人酒類総合研究所(広島県東広島市)主催。1911年(明治44)から続く全国規模で開催される唯一の清酒鑑評会。新酒を全国的に調査研究することで、製造技術と酒質の現状、動向を明らかにし、品質や技術の向上を目指す。

本年度は、全国から809点が出品され、入賞が410点、そのうち金賞が202点選ばれた。県内からは、他にも金賞に「紀土」(平和酒造㈱)、入賞に「一掴」(㈱名手酒造店)が選ばれた。

中野BCの酒造りは、1月ごろに仕込み、1カ月半~2カ月かけて完成する。気温や米の質、蔵の特徴によって清酒の仕上がりが変わり、武田博文杜氏(55)をはじめ、職人らの技術が試される。

「大吟醸 紀伊国屋文左衛門 黒」は、山田錦米を35%まで磨いた心白を使用。米を磨けば磨くほどクリアな仕上がりになるが、米が小さいと水を吸い過ぎて柔らかくなってしまい、酒造りが難しくなる。

また、3月ごろに新酒が出来上がるが、今回は5月の出品に照準を合わせ、うま味や甘さ、熟成度合いなどを調整しなければならなかった。袋つりから瓶詰めまで空気に触れないよう手作業で進め、華やかな香りと味のバランスが良く、甘さが残る洗練された味わいが楽しめる仕上がりとなった。

中野代表は2005年に実家を継ぐため、和歌山に戻り、武田杜氏は17年から勤務。両者にとっても金賞は初で、知らせを聞いた中野代表は「ようやく取れた」と、武田杜氏と喜び合ったという。「技術を保ち続けることは大変だが、さらにおいしいお酒を目指し、挑戦していく。常に進化して高品質のものを出していきたい」と話す。

金賞獲得を記念し、特別に出品酒を限定100本、同社内の売店「長久庵」やオンラインショップで販売する。720㍉㍑5800円。

問い合わせは同社(フリーダイヤル0120・050・609)。