深刻な人出不足解消へ 介護講習スタート

あいさつする上野山支部長
あいさつする上野山支部長

公益財団法人介護労働安定センター和歌山支部による本年度の「介護労働講習」の開講式が17日、和歌山市北出島の県勤労福祉会館プラザホープで行われ、20~60代の男女34人が学びをスタートさせた。

団塊の世代が75歳以上となり、高齢化がさらに加速する2025年以降、介護サービスの需要が急増する一方で、介護業界では大幅な人手不足が深刻化している。

同講習は、雇用保険受給者を対象に、半年間無料で専門の集中教育を行って介護人材を育成し、人材不足を改善しようとする国のプロジェクト。県内では国から運営と推進を委託された同センターが、2017年からスタートし、これまで修了生の約90%が介護事業所に就職し、第一線で活躍している。

式では、同支部の上野山勲支部長が「介護の技術や知識はもちろん大切ですが、何より利用者さんの心に寄り添って、勤務されている職場の先輩や同僚たちの心を理解することも重要。この6カ月間は思いやりの心を育てていく期間でもある。実直にひたむきにと取り組んでほしい」と受講者を激励した。

同センターが講習会のために作ったアニメ「一人ひとりが輝ける場所がある」を上映。年齢や性別、介護職を目指すきっかけなども異なる3人の主人公が、講習後、介護現場で成長していく姿を描いた作品で、利用者に寄り添うことの大切さを伝えた。

受講生は11月25日の修了式まで、即戦力として介護現場で働けるよう、実務者研修を含む実習や介護の基礎、「たん吸引」「経管栄養」などの医療的ケアの専門知識を学ぶ。

これまで事務職をしていたという50代の女性は「仕事を探していたら介護職の募集が多く、チャレンジしてみようと思った」と受講。

保育士をしていた40代の女性は「人と関わる仕事が好きで、新しく学んでみたい」と期待を膨らませ、64歳の男性は「昨年くも膜下出血で倒れ、たくさんの人に助けてもらった。まひもなく、元気になったので恩返しがしたい。半年間頑張りたい」と意気込んだ。