智弁が2年連続V 高校野球和歌山大会

優勝を喜び合う智弁ナインら
優勝を喜び合う智弁ナインら

第107回全国高校野球選手権和歌山大会の決勝が28日、和歌山市毛見の紀三井寺公園野球場で行われ、智弁和歌山が星林を2―0で破り、2年連続28回目の優勝を果たした。星林は27年ぶり5回目の決勝で35年ぶり3回目の夏の聖地を目指しての一戦。試合は攻守ともに緊張感が漂う決勝戦にふさわしい好ゲームとなった。

智弁和歌山
星林

〔智〕宮口―山田凜〔星〕則藤―濱口▽三塁打=山下、大谷、藤田(智)▽二塁打=荒井(智)

試合が動いたのは3回だった。智弁は1死三塁の好機で、大谷が適時三塁打を放ち、試合の均衡を破る。「試合がゼロで続いていたので、打てて良かった」とチームに流れを呼び込んだ。続く山下が「チームのために何とか」と放った犠牲フライで、さらに1点を追加。この2点が決勝点となった。智弁の山田希翔主将はこの回を「みんなが本当に頼もしかった。あの3回は、改めて仲間に感謝したくなる場面だった」と振り返った。

その後は両校の投手が持ち味を発揮し、互いに得点を許さない緊迫した展開が続いた。智弁は7回に藤田が三塁打、8回には荒井が二塁打と追加点の好機をつくり、星林も智弁の好捕手・山田凜虎の強肩に果敢に盗塁を仕掛けて成功させるなど、積極的な姿勢を崩さなかった。

それでも最後まで得点を許さなかったのは、智弁の先発・宮口の粘り強い投球だった。エース渡邉を温存し、継投もせずに託された大一番。9回を投げ切り、118球の4安打5奪三振で無失点。「ゼロに抑えれば負けることはないと思っていた」と強い自信を見せた。中谷仁監督も「信じて見守っていた」と全幅の信頼を寄せた。則藤も智弁打線を相手に6安打と力投した。

宮口を誰よりも近くで支えてきたのがエース渡邉。「いつも一緒に帰って、一緒の部屋で過ごす。一番仲がいい」という2人は智弁の投手陣を支える大きな柱となっている。渡邉は「完璧だった」と宮口をたたえ、宮口は「きょうの試合は本当にいい経験になった」と繰り返した。

昨年夏の甲子園は初戦敗退で、今春のセンバツは準優勝と、あと一歩で涙をのんだ智弁。悔しさを糧にここまで歩んできた。「いろいろな人たちに支えられてここまで来た。試合が終わってすぐにチームメイトに『ありがとう』と伝えた」と山田主将。「一人ひとりが自分の役割を果たして、最後は日本一で終わりたい」と今度こそ頂点を狙う。