紀三井寺が金色に 小児がん啓発でライトアップ

ライトアップされた紀三井寺の仏殿
ライトアップされた紀三井寺の仏殿

9月の世界小児がん啓発月間に合わせ各地の名所や建築物を啓発カラーの金色でライトアップして患者や家族、医療従事者を応援する「ゴールド・セプテンバー・キャンペーン」が全国160カ所以上で行われている。和歌山市では28日、紀三井寺で啓発イベントとして講演会が開かれ、仏殿が金色に照らされた。

主催は和歌山親子のつどい実行委員会。県立医科大学小児科学教室が共催。境内の松下講堂で「付き添い家族の支援」をテーマにした講演会があり、約100人が参加した

同会の鈴木寿美代表(56)は、2年前に息子(当時22)が急性リンパ性白血病を患い、約9カ月間闘病。付き添いの経験を語った。

鈴木代表は、一日中気を張り、食事をゆっくり取る間もなく、夜は病室の小さな簡易ベッドで仮眠する生活が長く続き、体は痩せ細り、精神的にも肉体的にも限界なほど疲れていた」と振り返る。周りにも同じように苦しむ人がいるのを見て「家族を支えないと子どもが元気になれない」と、付き添いする人においしく、体に良い食事をサポートする取り組みを考案。

「共倒れにならないため、家族の体にも心にも栄養が必要。経済的負担を減らすため、無料か低価格での提供を検討している」と、ことし中に動き出す予定だと話した。

他にも認定NPO法人キープ・スマイリング理事長の光原ゆきさんによる講演、県障害児・病弱児理解啓発チームオレンジキッズの小児がん啓発人形劇「だいじょうぶ、マイちゃん」の上演、紀三井寺の前田泰道貫主による法話などがあった。

会場では売り上げを小児がん治療支援に寄付する「レモネードスタンド」も設置された。

終了後は仏殿に移動。入院している子どもの他、保育士、看護学校の学生らが作った小児がんの子どもたちを支援するためのシンボルマークである巨大なゴールドリボンを仏殿に掲げ、ライトアップ。

参加者はその下でスマートフォンの懐中電灯機能を使って手を振りながら灯りを照らし、小児がんに向き合っている子どもと家族に「希望の光」と「応援メッセージ」を送った。

同実行委員会事務局の岡本光代さんは「痛みやつらさが少しでも和らぐように祈り、みんなが小児がん患者と家族を支える支援チームになってほしい」と協力を呼びかけた。

仏殿のライトアップは10月3日まで(天候により変更あり)。8日から13日までは乳がん啓発キャンペーンとしてピンクに照らされる。