日本最大級の木樽導入 湯浅醤油が伝統継承

新しい木樽と新古社長
新しい木樽と新古社長

しょうゆ発祥の地として知られる和歌山県湯浅町の湯浅醤油㈲(新古敏朗代表取締役社長)に、国産杉を使用した日本最大級の木樽が2基導入された。直径3・4㍍、高さ5・5㍍。同社によると、キリンの背丈ほどの高さがあり、しょうゆ木樽としては日本で2番目の大きさ。月間4~5㌧のしょうゆを造ることができ、早ければ2027年の12月ごろに同樽仕込みの商品が並ぶ。

同社は、1881年(明治14)に創業した老舗醸造元「丸新本家」のしょうゆ部門として設立した。かつて主流だった木樽仕込みによる蔵元は、江戸時代には湯浅に92軒あったが現在は数軒にまで減少している。

新古社長(56)は、「伝統のしょうゆをなくしてはいけない」との信念から、木樽仕込みを守り続けることは地域文化の継承につながると、新木樽の導入を決めた。

新しい木樽は、計画から2年かかり、ことし10月31日に完成。1基につき100本の杉を使用しており、くぎなどの金属部品は使わず木材同士を組み合わせ、外側をステンレス製の帯で締め上げている。樽の内側には漆が塗布され、杉の香りが一気にしょうゆに移らないようになっている。

同社は、140年以上使用している吉野杉の木樽を修理しながら大切に使い続けており、しょうゆ本来の香りが楽しめると国内外での評価も高い。新木樽の導入で需要拡大が期待され、100年先に向け伝統製法を続けていくという。

5日、同社でお披露目式が行われ、上山章善町長ら関係者が出席。木樽の紹介があり、導入を祝いテープカットをした。

上山町長は「長い歴史の新たな一ページ。新しい木樽は伝統の継承と挑戦の象徴である。伝統文化が次世代へ受け継がれることを願っている」と祝辞。新古社長は「日本最大級の木樽を据えることができた。伝統をつなげていき、ここから湯浅を盛り上げていきたい」と話した。