広川町に高級宿泊施設計画 知事「非常に歓迎」

和歌山県の広川町が県立自然公園内の町有地を売却し、高級宿泊施設を整備する計画について、整備運営事業者を公募する町のプロポーザルで㈱強羅花壇(東京都港区)が優先交渉権者に選ばれたことを受け、誘致を進めてきた県は23日、整備計画の概要を発表し、宮﨑泉知事が「町、同社と連携して、雇用確保や地域活性化に取り組んでいきたい」と意欲を話した。
同社は神奈川県箱根町の高級旅館「強羅花壇」などを運営。同旅館は、ミシュランガイドによる優れた宿泊施設の評価で最高位の「3ミシュランキー」を獲得している。広川町での計画では、世界最高水準のラグジュアリーサービスを提供し、周辺地域の景観や風土を世界に発信するなどのコンセプトを掲げ、海外の富裕層を主なターゲットとする。
建設予定地は、西有田県立自然公園内の岬「名南風鼻(なばえのはな)」と対岸の無人島「鷹島」の町有地約38万7000平方㍍。日本遺産にも認定された景勝地となっている。町は来年3月の町議会に用地売却に関する議案を上程する見通しで、可決した後、県と町、同社の3者で立地協定を締結することになる。
鷹島は県立自然公園の第1種特別地域に指定され、建物の建設はできず、宿泊施設は名南風鼻側になる見込みだが、島内には縄文時代の遺跡、鎌倉時代の高僧、明恵上人が修行したとされる遺構などがあり、町内には計画に懸念の声もある。
宮﨑知事は「町が民間に土地を売ることについて、県が何か言うべきものではないが、鷹島には建物を建てられないことなどを守っていただく立て付けにしている。それを前提に、非常に歓迎している」と述べた。


