陸奥宗光の顕彰を 市民団体が7月にシンポ

明治27年(1894)に外務大臣として日英通商航海条約を締結したのを皮切りに、欧米諸国との不平等条約による「治外法権」の撤廃に尽力し、その手腕からカミソリ大臣と呼ばれた和歌山市出身の陸奥宗光(1844―1897)の功績を、あらためて顕彰する動きが市民から起こっている。民間の各種組織の代表らでつくる「『陸奥宗光外務大臣』の功績を教育に活かす実行委員会」は、同条約が調印された7月16日、同市手平の和歌山ビッグ愛大ホールで、シンポジウムを開く。入場無料。

呼び掛け人は、同市出身で、県内を拠点に地元の伝統文化の顕彰活動を行っている臼井康浩さん(51)。陸奥が偉大な功績を残した人物でありながら、地元での顕彰が薄れてきていることに危機感を持ち企画した。

シンポジウム開催に当たり、国にも協力を要請。当日は基調講演として、文部科学省大臣官房総務課の鍋島豊広報室長と、外務省からの講師が登壇することが決まっている。

また、講師2人と、近現代史専門家で白百合女子大学・武蔵大学の岸本昌也氏や、大阪市立小学校教諭で銅像教育研究会代表の丸岡慎弥氏、和歌山市立雄湊小学校前校長で岩出市教委指導主事の福田光男氏を交えたパネルディスカッションも行い、さまざまな角度から陸奥の功績と知られざる人物像に迫る。

今月には、市立加太中学校の3年生17人が、修学旅行先の東京で、県内中学校として初めて外務省を訪れ、敷地内に設置されている陸奥の銅像前で記念撮影をするなど、教育現場でも陸奥の功績を見直す動きが出てきているという。

臼井さんは「子どもたちに陸奥の功績を伝えるためには、まず大人たちがしっかりと学ばなければならないので、当日は大勢に参加してほしいですね」と話している。

問い合わせは臼井さん(℡073・472・5619)。

外務省に設置されている陸奥宗光像(臼井さん提供)

外務省に設置されている陸奥宗光像(臼井さん提供)