食をつなぐ人を育てる 一木さん厚労相表彰
栄養改善や食生活改善事業に貢献した功労者を表彰する、平成28年度調理師関係厚生労働大臣表彰が、海南市下津町下津で「レストラン一木」を営業する一木謙三さん(69)に贈られた。来店者をはじめ、妻の昌子さんの支え、何事にも一生懸命な仲間、「頑張れ」と声を掛けてくれる先人が居たからこその表彰と、一木さんは感謝の思いを話す。
調理師免許を取得し、調理業務に携わるとともに、指導的立場から調理技術の発展や調理師の資質向上に顕著な功績があることから、調理業務功労者の区分で表彰を受けた。
一木さんは海南海草調理師会で副会長、県調理師会で理事を務め、主に子どもに食の魅力を伝える「キッズシェフ体験」や食育事業の実施、若い調理師の育成や資質向上に力を入れている。
妻の昌子さんと共に出身地である下津町にレストラン一木をオープンしてから、来年3月3日で45周年を迎える。「食に興味を持ってもらえるように」と、両調理師会メンバーらと協力しながら、キッズシェフ体験の開催や地域での調理教室を企画してきた他、食を通しての地域活性化にも取り組んでいる。
「震災時に集まった場所で、その場にある食材だけで料理をつくり、住民の食をつないでくれる人がたくさん育てば」と理想を語る。「食材でもおいしい部分だけ、お金になる部分だけを使って処分するのはいけない」と廃棄問題にも目を向け、「手元にある食材で何を作れるか、手段を知ってもらいたい」と願いを込める。
表彰式は東京都の厚労省で行われ、県内からは、白浜町で民宿マルキを営業する、川西正義さん(68)=白浜調理師会副会長=も表彰を受けた。