下津図書館が文科相表彰 読書活動推進で

 文部科学省が主催する本年度の「子どもの読書活動優秀実践図書館」に、県内から海南市下津図書館(宮尾英作館長)が文部科学大臣表彰に選ばれた。同図書館以外にも県が推薦した学校3校、団体1組が表彰されたが、図書館が推薦を受けたのは3年ぶり。宮尾英作館長は「いろんな人に良い本を読んでもらいたいという地道な取り組みが表彰されたと思う。これからも着実に進めていけたら」と話している。

 同館は平成10年に開館。同館司書の南方貴美子さんによると、図書館の来館者数の減少を受けて、行事企画を少しずつ増やし、平成28年には前年比で入館者が約1000人増加した。本年度は18件の行事計画を予定している。

 特に子ども向けの読み聞かせ会を充実。職員による読み聞かせチーム「おたまじゃくし」と「どんぐり」を結成し、おはなし会を実施。昨年夏に行った怪談絵本のおはなし会は、青い照明とお化けで飾られた雰囲気たっぷりの朗読室で開かれ、リピーターも出る人気ぶりだった。また、近隣の下津第一中学校で授業の一環として読み聞かせを指導。中学生によるおはなし会も開かれた。

 さらに、図書館をPRするために団体貸し出しの配達サービスを実施。海南市内の小中学校や公民館、病院などへリクエストのあった本を配達している。図書館の活動を知ってもらえる上、本を借りる人の意見をじかに聞けるようになったという。

 本への興味だけでなく、調べ学習の方法を学ぶレファレンス体験も行っている。昨年は問題の答えが載った本を探して妖怪を集める「妖怪ハンターになろう!!」を開催。小学校でも実施された。

 本年度からは小さな子どもを持つ親が図書館に来やすくなるよう毎週火曜日の午前中に赤ちゃん向けのおはなし会を開いたり、利用者が本に帯を巻き、読んだ人が感想を書いていく「伝書バトン」などの通年行事を実施。

 南方さんは「配達サービスで本を手にしている人も、図書館に実際に来てもらったらもっといろんな本に出合える。イベントを通して一人でも多く図書館に来てもらいたい」と話している。

 県内では同図書館の他、県立きのかわ支援学校、湯浅町立湯浅小学校、印南町立稲原小学校、ブックマーマおはなしの会が表彰を受けた。

賞状を手に下津図書館の皆さん(右が宮尾館長、左が南方さん)

賞状を手に下津図書館の皆さん(右が宮尾館長、左が南方さん)