子どもの貧困解消を 県が対策推進計画策定
県は、子どもを取り巻く経済的環境の改善に向け、「県子供の貧困対策推進計画」を策定した。期間は本年度から5年間で、全ての子どもが夢と希望を持って成長できる社会の実現を目指し、子どもの居場所づくりや生活困窮者の自立支援、一人親家庭の支援などさまざまな取り組みを講じる。
同計画は、平成26年に施行された「子どもの貧困対策の推進に関する法律」により、子どもの貧困対策に関する計画の策定が都道府県の努力義務となったことから策定された。
厚生労働省の国民生活基礎調査による平成24年の子どもの貧困率(世帯収入から一人ひとりの所得を試算して順に並べ、中間の人の所得の半分に届かない人の割合)は全国で16・3%となっている。県によると、平成27年度の県内の生活保護世帯の子どもは約1200人、児童養護施設などで社会的養護を受けている子どもは約450人おり、26年度卒業の大学・短大などへの進学率は県全体が47・6%なのに対して、生活保護世帯の子どもは15・1%、児童養護施設の子どもは5・3%にとどまっている。
今回の計画では、施策の基本的な方向性として、教育、生活、保護者の就労などの支援を示している他、大学進学率、無料または低額で食事を提供する子ども食堂の数など、20の指標を設定。事業の実施状況を毎年確認するとしている。
県独自の施策としては、市町村民税非課税世帯で日本学生支援機構第一種奨学金の申し込みを予定しているなどの人を対象に年間60万円を給付する「県大学生等進学給付金」や、こども食堂の開設に最大20万円を支給する「和歌山こども食堂支援」などの取り組みを盛り込んでいる。いずれの取り組みも平成28年度に導入し、給付金に対して定員を大きく上回る希望があった他、「こども食堂支援」には6団体が採択された。
県子ども未来課は「今後は子どもの貧困の実態に関する調査の実施なども検討していきたい」と話している。