講談で知るカミソリ大臣 陸奥宗光を題材に

和歌山市出身の元外務大臣・陸奥宗光の功績を広く知ってもらおうと、「七夕講談会」が7日、和歌山市西高松の県立図書館メディア・アート・ホールで開かれ、上方講談の旭堂南左衛門さんらが、陸奥の生涯などを題材にした書き下ろし講談4本を披露した。

「『陸奥宗光外務大臣』の功績を教育に活かす実行委員会」(立谷誠一会長)が、没後120年を迎える陸奥の誕生日にちなんで開催。講演会などの開催が多い中、新鮮なイベントで記憶に残るものにしようと講談会を企画した。

県出身の講談師もみじさんが陸奥の少年時代について語り、旭堂南鷹さんは、陸奥が行動を共にした坂本龍馬の最期を描いた講談を披露。南左衛門さんは、中世ヨーロッパの弦楽器リュート奏者の高本一郎さんと共に「陸奥宗光の生涯―カミソリ大臣と呼ばれた男―」を口演した。

物語は幕末維新の動乱期。紀州藩は政府参与の岩倉具視に軍資金15万両の供出を命じられるが、そんな資金はどこにも持っていなかった藩は、新政府軍に人脈がある紀州出身の陸奥に相談する。父・伊達宗弘が藩政から追い出されたために大変な生活を強いられてきた陸奥は、藩の重役に「紀州藩の危機を招いたのはあなた方だ」と責めるが、藩主・徳川茂承の覚悟を聞き、新政府の説得に向かう。岩倉は陸奥の説得を受け入れ、無理な供出は止めさせて、紀州藩に率先して改革をさせることで合意する。

南左衛門さんは、リュートの穏やかな音色に乗せて陸奥や紀州藩の人々の様子を力強い語りで描き出し、観客も時折笑いを交えつつ真剣に聴き入っていた。

立谷会長は「講談は初めてという人も多かったが、最後まで聞いてくれて良かった。和歌山では聞く機会の少ない講談を通して、陸奥宗光の功績が心に残ってくれたら」と話していた。

陸奥の半生を語る南左衛門さん㊧とリュートを奏でる高本さん

陸奥の半生を語る南左衛門さん㊧とリュートを奏でる高本さん