営業停止処分「取消」 御坊食中毒で判決

 ことし1月に和歌山県御坊市や日高川町の幼稚園や小・中学校などで給食を介した集団食中毒が発生し、県から営業停止処分を受けた調理受託業者が処分の取り消しを求めた裁判で、和歌山地方裁判所は27日、業者側の主張を認め、処分を取り消す判決を言い渡した。県は控訴する方針。

 集団食中毒では、園児や児童ら800人以上が下痢や嘔吐(おうと)などの症状を訴え、県は市給食センターを14日間の営業停止処分とした。食中毒の原因は市が調達した刻みのりであることが判明しており、給食センターでの調理を受託していたシダックス大新東ヒューマンサービス(東京都)は「過失はなく、処分は不当」と主張。県は「被害の拡大を防ぐために必要だった」と反論していた。

 判決で和歌山地裁の中山誠一裁判長は原告側の主張を認め、県が提示した営業停止命令書に事実関係や処分理由の具体的な記載がないことを指摘し、手続き自体を違法とした。

 判決に対し、県は「主張が認められず残念。被害の拡大防止を優先した処分が違法となるなら、原因が特定されるまで営業停止処分を行えず、県民の生命と健康を守れなくなる」とコメントした。