ジャバラで地域創生 ファイブワンが商品開発
和歌山県北山村原産の県の特産かんきつ類「ジャバラ」。㈱ファイブワン(和歌山市三葛)の坂本正博社長(65)は、抗アレルギー作用などが期待される成分を含むジャバラを地域創生の起爆剤にしようと、その可能性を追求するサプリメントなどの商品開発や研究に取り組んでいる。
ジャバラは元々、北山村周辺のみに自生し、「幻の果実」と呼ばれていたユズやカボスの仲間。名前は「邪(気)をはらう」に由来する。
ファイブワンは、坂本社長が51歳の時に設立し、環境エクステリアに関する製品の卸販売などを手掛けてきた。ジャバラの事業に取り組むようになったきっかけは、北山村以外にもジャバラを栽培する農家があり、活用法に困っていることを知り驚いたこと。ジャバラはサルも食べないほど酸味と苦味が強く、果実のままではなかなか売れないという。
坂本社長は旧龍神村出身で、地域の過疎化や高齢化、減反に伴う農業の衰退を目の当たりにし、地域のために貢献できることはないか考えていた。そこで、ジャバラの新しい活用法を開発し、需要を増やすことをひらめき、「これまで処分してきたジャバラの果皮を使った商品ができれば、農家にとって採算性のある農産物となり、耕作放棄地の活用にもつながる」と考えた。
ジャバラの果皮は抗アレルギー作用が期待できるフラボノイド成分ナリルチンを多く含む。有田市・海南市・同市下津町・広川町・かつらぎ町の5カ所のジャバラ農家と連携し、手始めに入浴剤やあめを作った。
さらに、疲労回復や風邪対策など新たな効能のサプリメントの開発を開始。ジャバラを原料としたカプセルタイプのサプリメントはそれまで市場に出回っておらず、3年をかけて昨年1月、医薬品メーカーのイワキ㈱(東京)と共同で、完熟ジャバラの果皮を使ったサプリメント「働くじゃばら」を商品化した。
同年3月からは、大阪市立大学の渡辺一志教授(健康・スポーツ科学)と、ジャバラの機能性成分が生体に及ぼす影響の共同研究を始め、ジャバラの可能性をさらに追求しようと情熱を傾ける。
今月初旬に東京都内で開かれた〝健康寿命の延伸〟をテーマとした「健康博覧会2018」にも出展し、ジャバラの知名度アップに努めた。チョコレートや自然食品を扱う企業から引き合いがあり、確かな手応えを感じたという。
「ジャバラを北山村だけでなく和歌山の名産にしたい。地域創生のために和歌山でジャバラ製品を作ってくれる企業を募っています。賛同してくれる方はぜひ連絡を」と呼び掛けている。
ファイブワンのジャバラ商品は和歌山市鳴神の花山温泉、東急ハンズ全国11店舗、東京の県アンテナショップ「わかやま紀州館」、インターネットショップ「じゃばら本舗」などで販売している。問い合わせは同社(℡073・448・5040)。